ベイトソンの『精神の生態学』をひさしぶりに読み返した。「重力」という概念について調べていて、確かベイトソンが「重力」について何か言っていたな、と思い出したからだ。
ちゃんと見つけることができた。しかし、論文上ではなく、メタローグの中に見つけることができた。ベイトソンは「重力」というものが、「本能」などの言葉と同様に、「説明原理」のひとつであると述べている。
「説明原理」とはブラックボックスのことだ。なにかを説明する際に持ち出される便利な言葉。ウィトゲンシュタインがodd wordsと言うものだろう。
科学はものごとの正否を審判する絶対的な基準ではないとさまざまな論者が述べている。ベイトソンもそのうちのひとりに思える。
しかし、やはり物足りない。重力は説明原理のひとつだとベイトソンは述べるが、彼はその証明を行っていないように思う。