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大阪市・長居公園のテント強制撤去に重森は反対します

長居公園行政代執行に対する研究者声明

公園で生活しているだけの人々を、公園から追い出すことに、重森は反対します。

なぜなら、私も将来、公園に住むかもしれないからです。

精一杯努力し、一生懸命働いたとしても、会社の倒産や病気などの災難により、路頭に迷う可能性はあります。私は、自分自身の「セーフティネット」あるいは「利用可能な社会的資源」を確保するために、大阪市のやり方に反対致します。

私は自分の私利私欲に基づき、今回の大阪市のやり方に反対致します。

蛇足ですが、下記のSさんによる弁明書を読んだことも、私が大阪市に反対する理由のひとつになっております。

長居公園テント村住人による大阪市に対する弁明書

いい文章だと思います。自立と労働について、そのあり方を勝手に規定することに対し、Sさんは異議を申し立てています。非常に考えさせる文章です。このような含蓄に溢れた文章を書く人を、どうか苦しめないで欲しいと思います。

私は3年前まで調理師として働いていましたが,失業が原因で野宿生活を始めました。万策尽き果てて,飯を食うために止むを得ず,生まれて始めてゴミ箱に手を入れようとしたとき,私がどれほど躊躇したか,あなた方に分かりますか。生きるために必死だったからこそ,それができたのです。決して好き好んでできることではありません。それでも何とか,廃品回収の仕事をしながら食いつないできました。

長居公園内に定住して生活していれば,地域住民の人たちとも関係ができてきます。野宿問題に関心がある人たちも訪れてくるようになりました。そのうち,各方面に人間関係ができて,アルバイトもできるようになりました。

今,私は自立しています。自力で稼いでいます。アパートを借りて家賃を払えるほど稼いではいないけれども,公園の片隅で野宿しながらであれば,何とか生活できています。野宿生活を始めてから,いろいろと苦労して試行錯誤しつつ,地域の人たちと関わりあいながら,今の生活を築いてきました。

(中略)

私は私なりの方法で必死に自立してきました。それなのに,大阪市は「あなたの自立してきた方法は間違いだ。公園を出て自立支援センターに入りなさい。」とでも言いたげな態度を貫いています。バカにされているような気がします。大阪市が命じるままに自立支援センターに入所して「自立」に向けて努力させられることは,私から見れば,これまでの私自身の自助努力の歴史を否定することに他ならないのです。私の生き様を,私自身が否定しなければならない。人間として,これほどまでに悲しいことがありますか。

ろくに市民のために仕事をするわけでもなく税金を食い潰しているオエライ役人さんたちに,こう言いたいです。自立していないのは,あなた方だ。あなた方に本当の自立とは何かを考えて頂きたい。会社や役所などで,私たちの社会に必要かどうか怪しいような仕事をして給料をもらうのが自立ですか。私たちのように,廃物を拾い歩いて有効利用することが,なぜ自立と言えないのですか。この大量消費社会において,このような私たちの生業は決して非難に値するものではないはずです。また,私たちは毎週末,某所に借りている畑で農作業に従事し,収穫物を自分たちで食べたり,周辺住民の人たちに廉価で販売したりしてきました。行政的には認知しようがないかも知れませんが,これもまた私たちの自立生活の一面です。

そもそも,“働く”とはどういう意味ですか。企業や行政から給料をもらうことですか。金を稼ぐことですか。働くとはどういういうことなのか,そのコンセンサスが社会的にない限り,自立支援なるものを私たちに強要することは許されないはずです。私は,これまで私が築いてきた地域とのつながりを大切にして,これからも長居公園で自分なりに自立し続けていきたいと考えています。 from 長居公園テント村住人による大阪市に対する弁明書

Sさんにとって、公園は、彼にとっての「自立」を支える重要な場所のようです。私のような私利私欲にまみれた計算高い人間にとって、公園は「一時的or半永久的な避難所」としてしか捉えられていませんが、Sさんにとって公園は、避難所ではなく「生活の場」、より正確に言うならば、「家」と呼びうるもののようです。そして、なによりも、公園という場で得られる人間関係、つまり「人と人のつながり」に、Sさんは幸せを感じているようです。

ならばなおさら、公園からSさんを追い出すことは、やめていただきたいと思います。

行政側はいろいろと理由をつけてはいますが、結局のところ、法律違反を理由にして、公園からSさんを追い出そうとしています*1。しかし、行政が持ち出すその法律は、はたして、本当に意味のある法律なのでしょうか? その法律で、人々の生活が豊かになったり、幸せを感じる人が増えたりするのでしょうか? 私には、その法律は、誰にも迷惑をかけずに*2一生懸命自分なりに努力して精一杯生きてきたSさんのような人を、苦しめるためだけに機能しているように思えます。

行政側が法をあくまでも盾にしてSさんを公園から追い出そうとするのならば、私は、その法自体の改正・廃棄を要求致します。

誰の役にも立たない法律は、削除してしかるべきだと私は考えます。*3

追記:長居公園に関する情報

大阪・長居公園のテント強制撤去に疑義

↑「大阪市の手続きは法的要件を満たしていない可能性がある」とのこと。

「ホームレス」と市民

↑「自立支援センター」とワールドカップとホームレスの関係。「ホームレス」隠蔽装置としての「自立支援センター」

追記:強制撤去後

結局、長居公園のテントは強制撤去されてしまったらしい。

面白そうな場所が壊されてしまい、悲しい。

ネット上に存在する記事や写真や映像を見る限り、長居公園はなかなか面白い場所のようだ。

長居公園のテント村は、東大の駒場寮*4のような、混沌としていて、人と人の距離が異常に近くて、なんだか妙な生(せい)のエネルギーがむんむん充満している場所だったのではないか。そういう場所が壊されるのは悲しい。きっとあの場所にはいつも笑い声が響いていたに違いない。

今回の大阪市のやり方には違法性があるという話を聞く*5。しかしながら、大阪市が法で裁かれることはないのではないかと私は悲観している。長居公園のテント村のために尽力している法律家の方も何人かいらっしゃるようだが、大阪市を法で攻撃することは難しいのではないかと、私は勝手に無根拠的な予測をしている。

大阪市に対する、確実かつ効率的な抵抗方法は、ないものだろうか。

なんとなく、大阪市長のサイトを眺めてみる。

大阪市─市長の部屋

ただ眺めているだけである。

この方は、今までどのような生き方をしてきたのだろうか。人の話を聞ける人だろうか。企業が求める「コミュニケーション能力」はあるのだろうか。日々何を考えて生きているのだろうか。何が嫌いなのだろうか。何を好むのであろうか。特定の信仰はあるのだろうか。一番悲しかったことは何なのだろうか。嬉しかったことは何だろうか。いじめにあったことはあるだろうか。人をいじめたことはあるだろうか。野宿者の友達はいなかったのだろうか。親に何と言われて育ってきたのだろうか。親を愛していたであろうか。親を憎んでいたであろうか。兄弟はいるのだろうか。何に嫉妬するのであろうか。どんなコンプレックスを持っているのだろうか。鼻くそをよくほじる人だろうか。林檎を自分でむける人だろうか。子どもはいるのだろうか。いるならその子どもは既に「社会人」なのだろうか。その子どもは会社に勤めているのだろうか。子どもはそこで理不尽な扱いを受けていないだろうか。好きな人はいるのだろうか。親友はいるのだろうか。法律の知識はあるのだろうか。それについてどのような考えを持っているのだろうか。どうしてテント村を強制撤去しようと考えたのだろうか。

などと考えながら、市長の顔を、ただ眺めてみる。

*1:もしかすると、行政側の人たちは、上司の命令に盲目的に従っているという可能性がありますが、まさか、「社会人」ともあろう者が、そんな、いい加減な理由で、強制執行を行おうとしているわけはないでしょう。自分の頭で考えて行動するのが「社会人」のはずなので、まさか、そんなことはないでしょう。きっと、行政側の人々は、市民の皆さんの幸せの為に、ひとりひとり自分なりに徹底的に思索したうえで、強制執行を行おうとしているのでしょう。

*2:「公園に住まわれること自体が迷惑だ(だから公園に住むな)」とおっしゃる人がたまに見られますが、もしもこのようなロジックが受け入れ可能なものであるのならば、次のようなロジックも成り立つのではないかと思います。「「公園に住まわれること自体が迷惑だ」とのたまう奴の存在自体が迷惑だ(だからそんな奴は消えろ)」

*3:菓子屋とかガス器具屋とかは、法でどんどん取り締まってしかるべきだと思います。いや、法を持ち出すまでもなく、菓子屋とかガス器具屋は明らかに有害なので、社会から隔離したらよいと思います。自立した「社会人」として菓子屋とガス器具屋はどうも未熟なようなので、それこそ、これらの組織の幹部連中は、「自立した正しい社会人」になってもらうべく「自立支援センター」に強制収容したらいいと思います。そうやって、外から見えない場所に、閉じ込めてしまえばよいと思います。

*4:重森は駒場寮によく泊まっていました。だめ連や変な東大生や旅人や芸術家や新興宗教の信者などと遭遇できてそこは非常に楽しい場所でした。

*5:例えば、以下を参照。http://kamapat.seesaa.net/article/31690331.html