有効利用精神

駅に着いたら大雨雷状態であった。しばらくぼーっと空を眺める。やみそうもないなと思いつつも、もしかしたらやむかもと期待しつつ、15分くらい立ち続ける。

「あのー。すいません。手相の勉強しているんですけど。2、3分でいいんで手相を見せてくれませんか?」

メガネをかけた若いお姉さんに突然尋ねられる。疲れていたので、丁寧に断る。しかし、「もっと面白い反応を返すべきだった」と後で反省する。

しょうがないので、駅ビルに入っているユニクロと食材市場で買い物をすることにする。「雨が駅に着いた途端に降った場合、駅ビルの店舗には通常よりもお金が落ちていくのではないか。もしそうであれば、雨を自由自在に降らす技術を開発すれば、駅ビルの収入をアップさせることができるのではないか。」と考えながら、ユニクロでポロシャツを2着買う。私にしては珍しい、ピンク色と赤色のポロシャツを買ってみた。あした会社に着ていこう。

次に、地下の食材市場をうろつく。珍しくハムを買ってみる。ついでにもずくを補給しようと思い、いつものもずくコーナーに行くと、「らふてー」を発見。生産者はホーメルとなっている。中城の当間で生産しているらしい。このようなものが東京で売られているとは知らなかった。

「いったい誰がどのような交渉をしてどのような業者が幾つ絡んだうえであの「らふてー」は北千住くんだりの丸井の地下に並ぶことになったんだろう。ホーメルの人たちが昨今の沖縄ブームを敏感に感じ取り、これに便乗して「らふてー」を本土で売り出そうと決心したのであれば、その経緯をドキュメンタリータッチで見てみたい。誰かそういうの作れ。」と思いながら、階段を登って地上に上がり、結局えいやっと雨の中に飛び込む。全然やみそうにないので、濡れてしまうことをひとまず受け入れる。

雨と雷の中を歩く。雨の中を歩くのはだいぶひさしぶりだ。雨の音と雷の音を利用して、歌を歌いながら歩く。リチウムを歌う。難しい。こぶしが入る「wonder what's wrong with me」の部分がうまく歌えない。何度もこの部分を繰返しながら、家路を急ぐ。道行く人は怪しまない。雨と雷ありがとう。

どんな状況も貪欲に利用して、楽しんでやろうと思う。