atomic sunshine

キュレーターの渡辺さんの説明を受けつつ、作品を見て回った。途中から参加したので、前半のいくつかの作品について説明を受け損ねた。蛹(なんらかの蝶のサナギ)のついたナイフや、蛹のついた銃などの作品について、これらが何を意味するのか全く見当がつかなかったので、質問しようと思っていたのだが、渡辺さんはニューヨーカーということであり、非常に多忙な様子であったので、質問する機会を逃してしまった。

そこで近くにいた編集者に質問すると、次のような返答が返ってきた。

「蛹がついている箇所は、ナイフや銃を武器として使用する際に握ってしまう箇所。つまり、武器を使用することは、蛹(命)が潰れてしまうこととセットになっている。暴力の行使は、暴力を行使する側にも犠牲を強いるというメッセージが、あの作品群には含まれているんじゃないの?」

すごい。確かにそのように解釈したほうがしっくりくる。編集者の明快な回答に、私は非常に納得してしまった。そして同時に、自分の「世界の見え方」の貧しさに、驚いた。

私にとって、あの作品群における蛹は、命というよりも、余計で邪魔なもので、場にそぐわない異物としか思えなかった。だから私は、編集者のような発想に、至ることができなかったのだと思う。