発作的シナリオ

世界は紛争に溢れている。しかし地球外から敵が襲来してきたならば、世界中の人々に「地球人」としての自覚が生まれ*1、外部からの敵に対して一致団結するようになり、「地球人」同士の争いは減少するのではないか。

なぜか仕事中に私はこのような着想を得た。

このアイディアのもと、以下のようなシナリオを記す。

【起】

西暦2XXX年。突如として世界各地の軍事施設上空に現れた菩薩像に良く似た物体。領空侵犯の警告に全く反応しないこれらの物体に対し、同時多発的に各国の戦闘機が攻撃を開始。しかし菩薩の目から放たれる光線は一瞬にして戦闘機を破壊し、世界中がこの未知の敵の出現に恐怖した。

【承】

当初は菩薩を他国の新兵器とみなしていた各国の首脳たちだが、世界中の軍事施設が一斉に菩薩の攻撃に晒されていることが明らかになるにつれ共闘し始める。国の枠を超え、各国の軍隊が一致団結し、菩薩破壊のために様々な軍事兵器が投入される。

【転】

しかし菩薩の装甲は厚く、あらゆる攻撃を受け付けない。最後の手段として核攻撃が検討され始めたちょうどその頃、仏空挺部隊曹長ピエール・ウォルター・ビンセントは、未知の敵の出現ポイントの記されたメモを、宇宙物理学者である彼の父親の遺品から発見する。極秘プロジェクトに関わった人物を必死の思いで突き止め、やっと明らかになる菩薩型兵器の秘密。それは世界平和を願う彼の父親とその仲間が極秘に開発した地球産のロボットであった。やがて、菩薩型ロボットは軍事施設や軍事兵器のみを破壊するようにプログラムされていることが明らかになる。テレビのニュースを介し世界中の人々はこのことに安堵し、そして世界中の軍事兵器が一掃されることも喜び合った。しかしその事実を知った各国の首脳陣は、今度は菩薩の領有を我先にと秘密裏に画策し始める。そしてとうとう菩薩を操作するメインコンピューターにアクセスする方法を手に入れた中国人工作員により、菩薩のハッキングが行われた。しかしハッキングは菩薩中枢の電脳に損傷を与え、もともとは地球上の軍事兵器を破壊し終われば活動停止するはずだった菩薩の行動を完全に狂わせてしまう。軍事兵器だけでなく、街や森や人に向けて破壊活動を行う菩薩。ついに米国による核攻撃が仕掛けられるが、菩薩は核に絶えられる強靭な装甲に覆われていたため、あえなく失敗に終わる。

【結】

そして地球には、機能を停止したいくつかの菩薩像だけが残った。人類は、制御不能の破壊兵器となった菩薩により、無に帰された。

非常に悲しい結末だと思う。

しかし、映画化されたら、是非見てみたい。

*1:例えば、蒙古襲来の際に初めて「日本人という意識」が生まれたという仮説を聞いたことがある。このようなことは十分有り得ると思う。