自殺の原因としてのダブルバインド

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亡くなった生徒は、部活の成績の悪さの責任を押し付けられ(濡れ衣を着せられ)、結果を出しても難癖をつけられ、印鑑購入等の雑用をラインで昼夜問わず押し付けられ、部員の前で叱責される等、日頃から理不尽な仕打ちを受けていた。

これらに加えて、生徒には、以下のようなダブルバインドがなされていた。

退部を迫るダブルバインド

命令1:キャプテンやめれ(部活やめれ)
命令2:特別推薦で高校に入学したという生徒の状況(部活をやめられない)

調査報告書 99p~100p

P道場に関するダブルバインド

命令1:P道場に行け(部活するな)
命令2:P道場に行くな(部活をしろ)
調査報告書【概要版】19p~20p

報告書【概要版】では、1月28日になされた「P道場に関するダブルバインド」が、1月29日に起きた生徒の自殺と密接な関係があるものとして、以下のように記述されている。

 このように1月28日の顧問Xによる理不尽かつ強烈な叱責が引き金となって、生徒Aは、自死を選択する心理に至ったものと考えるのが相当である。それ以外について、生徒Aを自死に至らしめる直接のきっかけと言えるまでの要因を、本調査においては確認することができない。
 したがって、当再調査委員会は、顧問Xによる1月28日の叱責が、「C:生徒Aを自死に至らしめた直接のきっかけとなる出来事」であったものと認定する。

ダブルバインドを、「教師のパワハラによる生徒の自殺」の原因として認定したのは、本報告書が初めてではないだろうか。

パワハラには、ダブルバインドが付随することが多い。しかし、被害者によって言語化されにくく、周囲も現象として把握することが困難である。

そのため、ダブルバインドの存在を明確に指摘し、これを自殺の引き金として分析した今回の報告書は、今後のパワハラに関する調査や分析に、大きな影響を与えると考えられる。

ダブルバインドの危険性が、ここまで認知されたのであれば、これについて沖縄県教育委員会は、試験や研修を通して、「何がダブルバインドに該当するのか。なぜダブルバインドをしてはいけないのか。他の教員による児童生徒へのダブルバインドを周囲がとめられないのは、周囲の人間の人間としての弱さ、生きる力の弱さであり、その弱さは克服すべきものであること」を、全教職員に強く自覚させるべきである*1

*1:このような提言をしつつも、私は、このようなパワハラを現場の教員がやめさせることはできないだろう、と悲観している。沖縄県に限らず、教員のほとんどは、たとえコザ高校で顧問Xの同僚だったとして、この顧問Xの生徒に対する態度や言動に違和を感じていても、何もできず、何もしようとはしないだろう。なぜなら、面倒だから。自分よりもキャリアのある年長の他人に意見するのは怖いから。他の業務で忙しいのに、これ以上厄介ごとを抱えたくないから。何よりも、他人と対立することで管理職に睨まれたくないから。だから、パワハラダブルバインド)をとめるには、周囲から完全にインディペンデントで、他人の顔色を全く伺わない、狂った教師が必要だろう。他人と対立して、たとえ教育現場を追われても、転職なり起業なりして食っていく自信のある、狂った教師が、学校現場には必要だろう。インディペンデントで狂っているなら、誰とでも喧嘩できる。何でも言える。対立しても、憎まれても、何も気にならない。安全志向に走れない、狂った教師を、沖縄県教育委員会は、意図的計画的に、教育現場に増やすべきであるが、おそらく、このようなインディペンデントで狂った教師は、1次試験は受かっても、面接試験で落とされるであろう。