国立を駆け抜ける(リアカーで)

引越し作業をしている。

今日は学生課で借りたリアカーで、パソコン本体とモニタとプリンタを、大学から下宿へ運んだ。

学生課の人は、「えぇ! 道路でリアカーを引くんですか!! それはあぶないですよ!!!」と終始びびっていた。年齢は30代後半に思える。説得するのに少し時間がかかった。

リアカーの正しい使い方を、この人は知らないに違いない。

リアカーは車である。モービルである。したがって堂々と道路で引いてもよいのである。

30歳後半の学生課の人はきっと、この事実を知らないのだ。

今回の運搬作業を手伝ってくれた友人もちょっとびびっていた。

この友人もリアカーを利用したことはあまりないという。

いざリアカーを引く。

道行く人がみんな見ていく。すれ違いざまにしっかりこちらを見ていく。

年配の方は、なぜか、笑顔を見せてくれる。以前から気付いていたのだけれど、年配の方の、リアカーに対するまなざしはどうして暖かいのだろう。

リアカーは子供にも受けがよい。

なぜだかみんな嬉しそうだ。

リアカーを公道で引くことは、祭りでおみこしを担ぐことと非常に良く似た現象だと思う。

タオルを頭に巻いた、その建設関係のおじさんは、好奇に満ちた目でこちらを見ていた。

「デジタルなのにアナログだよ…」

おじさんはしっかりとそうつぶやき、リアカーとそれに乗っけられたデジタル機器を、驚愕のまなざしで見つめていた。

今日日、リアカーで街を駆け抜けることは、シュールレアリズム的な行為でもあるのだと思う。

リアカーは楽しい☆