辺野古で市民が海保職員にねじふせられてもそれを司法が全く抑止できず、基地反対関連の抗議集会が基地建設推進側にとって無害な単なる演説イベントとなっている現在の沖縄では、保守は票集めのために「基地反対」という公約を安心して掲げることができる。なぜなら、「反対運動をしても、基地は作られてしまうことが明白」だからである。
「基地建設に反対したが阻止はできなかった。」
「基地建設が阻止できなくとも、反対すること自体に意味がある。」
このような言い訳が「基地反対」を公約に掲げる保守によって利用される可能性。これを考慮するからこそ私は、自民党にゆかりのある翁長さんには投票したくない。彼は新基地が首尾よく建設されることを見越した上で、「基地反対」を掲げている可能性がある。
翁長さんに質問したいことがある。
「自民党と縁を切ったのか?」
「自民党の方針とあなたの公約は180度異なるが、結局は自民党本部の意向に従うのか?」
もしもこれらの質問に対し、「失礼だ!」と逆ギレしたり、「基地反対!」や「保守も革新もない。合言葉はオール沖縄!あるいはアイデンティティ!」等のような、質問からズレた返答をしたり、「自民党に従って欲しいのか?」と逆質問したりして、誠実に回答することから逃げるのであれば、その時点で私は翁長さんを自民党の手先と判断する。
「自分は自民党とは縁を切った。」
「自民党との関係は切れているので、自民党の方針に逆らうつもりだ。」
このように翁長さんが断言してくれたならば、私は翁長さんに投票してもいい。現時点で私の知る限り、このような発言を翁長さんはしていない。「オール沖縄」や「アイデンティティ」という耳触りの良い抽象的な言葉だけがあるのみである。
私は危惧する。もしも翁長さんが、実際に自民党の手先であり、このまま順調に沖縄県知事になったならば、彼は基地反対の姿勢を継続しつつも、基地反対関連の抗議集会という名の演説イベントにちょろっと顔を出し、「基地反対」と口では言うが、辺野古の新基地建設や高江のヘリパット建設などを阻止するための具体的な行動を取ることを必ず避け*1、そのままなし崩し的に、自民党の意向が実現されていく未来を用意するのではないか。
「基地反対」を表明しつつ、「頑張ったけど押し切られました」という形で、基地の建設を結果的に許すという、「沖縄県民からの信頼の獲得」と「自民党の目論みの実現」の両方を達成するという、非常にバランス感覚に溢れた狡猾な身のこなし。これが沖縄県知事となった翁長さんによって存分に発揮され、辺野古や高江での基地建設工事が着々と進行していくことを、私は大いに危惧する。
翁長さん。もしも本当に基地に反対する意志があなたにあるならば、自民党との決別宣言を公式に行ってください。そして、抗議集会にちょろっと顔を出したり新聞などのメディアで「基地反対」と発言したりするだけでなく、基地建設を実際に阻止するために、一緒にカヌーに乗って、辺野古で海保職員と対峙しましょう。基地反対と口で言うだけでなく、基地の建設を阻止するために、具体的に行動していきましょう。