求職活動の一環として、今日は早起きして9:30から那覇のハローワークでセミナーを受けてきました。様々なセミナーが存在しているのですが、本日受講したセミナーは「求職活動の進め方」というものでした。
会場には約70人の受講生が一斉授業形式で座っておりました。女性、男性、20代、30代、40代。各世代各性別の人間が満遍なく見られました。
講義を通して下記のような言葉をキャッチすることができました。
- 「沖縄県の人口は140万人。そのうち労働人口は66万人。失業率は7.2%。失業者数は5万人。」
- 「プラス思考が大事。後ろ向きな表現ではなく前向きな表現を心掛けよう。」
- 「ストレスコントロール力を見るために面接官は趣味や休日の過ごし方を質問する。」
- 「面接を受けた後は必ず礼状を郵送しよう。」
- 「人材派遣という働き方も選択肢としてありますよ。沖縄には現在160社ほどの人材派遣会社がありますよ。」
未知の情報も多く、非常に勉強になりました。
講師の方は、株式会社沖縄コングレという名前の企業に所属している方でした。「求職者に求職活動のいろはを教える仕事もあるのだな」と妙に関心しました。
ただ、私は現行の派遣業務には問題があると考えているため、講義テキストや講義において、派遣を選択肢の一つとして安易に求職者に勧めることに違和感を覚えました。
人材派遣会社を介さずに、あくまでも企業は労働者を直接雇用すべきというのが私の考えです。間接雇用の場合、派遣先の企業は派遣社員を気軽に切ることができます。これがいわゆる「派遣切り」です。労働者が労働力の調整弁として企業に都合よく利用されてしまうことが問題として指摘できます。
派遣業務が抱える問題は他にも指摘できますが、直接雇用によって企業側に生じる負担を軽減するためだけに、人材派遣という働き方が企業によって「乱用」されてしまう点が、人材派遣業務の抱える最大の問題点だと私は考えています。
ネットで調べた結果、株式会社沖縄コングレは、人材派遣業務を手掛けていることが分かりました。様々な考え方が存在するとは思いますが、ハローワークの主催するセミナーで派遣業務の問題点を一切説明することなく、派遣業務をさも正当な働き方の一つであるかのようにさりげなく紹介することに私は違和感を覚えずにおれません。
ハローワークが主催するセミナーを受けたのは今回が初めてです。「企業に採用してもらうために必要な知識を教授するだけでなく、企業を積極的に利用して生きていくために必要な知識も教えて欲しい。具体的には、労働基準法や労働組合やブラック企業に関する知識も求職者に伝授して欲しい。」というのが正直な感想です。たとえば、企業では下記のようなケースに遭遇することが高い確率で予想されます。
- 面接の際に、「結婚したらどうせ会社を辞めるんでしょ?」と面接官に質問された。このような質問に対してどのように答えたらよいのか分からない。
- セクハラなのかそうでないのか自分では判断できないのだが、上司や先輩に非常に不愉快な思いをさせられた。
- パワハラなのかそうでないのか自分では判断できないのだが、上司や先輩に非常に不愉快な思いをさせられた。
- 抱えている仕事量が多すぎるため、残業時間が減らない。仕事量の軽減を上司にお願いしたが、上司は「がんばれ」「甘えるな」としか言わない。
- 上司や先輩に濡れ衣を着せられて無能扱いされた。
- なぜか残業代が支払われない。
- 有給を消化したいのだが、上司が許可してくれない。
- 上司や先輩が仕事を怠けて、結果的に部下に仕事を押し付けてくる。
- 休憩時間も働くことが常習化している。休憩時間の労働に対しては給与が出ないので自分は休憩時間には働きたくないのだが、周囲の目が気になり自分だけ休憩を取ることが憚られる。
- 派遣先から更に別の現場に派遣されている。現場の責任者に労働環境の改善をお願いしても取り合ってもらえない。派遣元の上司に同じお願いをしても取り合ってもらえない。労働環境の整備に責任を持つ人間が誰なのか曖昧になっており、誰に労働環境の整備をお願いしたらよいのか分からない。
- 派遣先から更に別の現場に派遣されている。毎日残業続きで疲弊しているが給料は安い。所属先の企業と現在の派遣先の間に挟まっている企業に中間搾取されているために自分の取り分が少ないのだと思う。自分のいる現場での労働のあり方は偽装請負に該当するのではないかと思うのだが、実際どうなのか自分では判断できない。
上記は会社員時代に私が見聞きしたことのあるケースです。これらには実際に私が体験したケースも含まれています。
このような困ったケースに対処するテクニックをこそ、労働に関する公的機関であるハローワークでは教えて欲しい。「ハローワークはあくまで就職をお手伝いする機関なので、企業に就職した後のことについては関与する必要はない」という意見もあるかもしれませんが、であるならばせめて「就職してはいけないブラック企業の特徴」の情報ぐらい提供してもいいのではないでしょうか。「とにかく就職できさえすればOK」という考え方では無責任すぎる。失業者を減らしたいのならば、企業に採用されることのみを目標にするのではなく、就職先の企業が備えている可能性の高い悪癖や問題点、そして人材派遣という働き方が孕むマイナス面に関する情報の提供も行い、ハローワークは求職者の就職をトータルでバックアップせよ。このように私は希望したい。
というようなことをブツブツ考えているうちに、本日のセミナーは終了しました。セミナーの講義内容に過剰な期待を抱いていたわけではありません。講義内容は良くも悪くも予想の範囲内のもので、教科書的な一般的なものでした。講師の方は気さくな方で、謙虚な話し方や態度はむしろ好印象でした。
しかし、派遣という働き方が労働の選択肢の一つとして講義中に紹介されたあたりから、いっきにセミナーに対する印象が激変しました。メリットとデメリットを両方バランスよく説明せずに、派遣という働き方を紹介することには疑問を感じます。副作用の存在の十分な説明なしに、劇薬を処方されたような気分になりました。
他にもセミナーが用意されているので、次回は5月頃に別のセミナーを受講してみようと考えています。
以下より、セミナー受講後の那覇散歩のご報告。