PB2010_算数_1単位目



1.1054と1953の最大公約数が31になることの説明

 ユークリッドの互除法を用いて、1054と1953の最大公約数である31を、以下のように求めることができる。

 1953÷1054=1あまり899 ─①

 1054÷899=1あまり155 ─②

 899÷155=5あまり124 ─③

 155÷124=1あまり31 ─④

 124÷31=4あまり0 ─⑤

 従って、GCM(1054、1953)=31

 上記では、はじめに式①において、大きい方の1953を、小さい方の1054で割り、商1とあまり899を算出している。次に、除数として先程使用した1054を、式①で算出したあまり899で割り、商1とあまり155を算出している。このような計算を繰り返し、最終的に式⑤において、あまりが0となる。この時の除数である31が、1054と1953の最大公約数である。

 上記を下記の図Aで説明する。

図Aの例。教科書にも同じような図があるのでそれを参考にすればOK

 図Aの長方形は1054と1953を二辺として持つ長方形である。この長方形を隙間無く敷き詰められる最大の正方形の一辺の長さは31である。この図Aで、「1054と1953の最大公約数を求めること」が、「1054と1953を二辺として持つ長方形を隙間無く埋められる最大の正方形の一辺の長さを求めること」と同じことが理解できる。

 上述の計算式と、図Aの長方形との対応関係を説明する。まず、式①では1953を1054で割り、商1、あまり899となった。これは図Aの①の範囲と対応する。次に、式②では1054を899で割り、商1、あまり155となった。これは図Aの②の範囲と対応する。次に、式③では899を155で割り、商5、あまり124となった。これは図Aの③の範囲と対応する。次に、式④では155を124で割り、商1、あまり31となった。これは図Aの④の範囲と対応する。最後に、式⑤では124を31で割ると、商4、あまり0となり、遂に割り切ることができた。これは図Aの⑤の範囲と対応する。これは、一辺が31の正方形であれば、図Aの長方形を隙間無く敷き詰められるということである。つまり、「1054と1953の最大公約数を求めること」は、「1054と1953を二辺として持つ長方形を隙間無く敷き詰められる最大の正方形の一辺の長さを求めること」と同じことだといえる。

 なお、図Aの長方形を眺める際に注意すべきことがある。「面積」の観点から図Aの長方形を眺めてはならない。あくまで、辺の「長さ」にのみ注目し、「1054という長さの辺」と、「1953という長さの辺」の両方を、それぞれ過不足なく(あまりを出さずに)分割できる「長さ」を追うことが大切である。1054と1953を掛け合わせて、長方形の面積を算出し、これを考慮してしまうと、混乱してしまうので注意が必要である。

2.内包量である「速さ」はどのような外延量の商であるかを示した上で、平均の速さを例に、「量の加法性」が一般には成り立たないことを、具体的に説明しなさい。

 「速さ」は、「道のり」という外延量と、「時間」という外延量の商、すなわち、「速さ=道のり÷時間」という式で算出される。これは、いわゆる「平均の速さ」と呼ばれるものである。

 上記の「速さ」については、「量の加法性」は成立しない。例えば、30km/時で走る車が、50km/時にスピードを上げたとしても、「30 km/時+50 km/時=80km/時」という計算は成り立たない。

 なぜなら、最初の1時間は30km/時で走り、残りの1時間は50km/時で走った車は、合計2時間で80kmの「道のり」を走行したことになるが、80kmの「道のり」を2時間で走行したこの車の時速は、あくまで「速さ=道のり÷時間」という計算により、40km/時となるからである。

 以上のことから、「速さ」については、「量の加法性」は成立しないといえる。

参考・引用文献

齋藤昇・小原豊著 『授業に役立つ算数教科書の数学的背景』 東洋館出版社、2015年、p.23‐28、p.48‐64

捕捉

このレポートは、算数のレポートですが、要約型レポートです。

なぜなら、教科書から必要な箇所をピックアップして書かれているからです。

ただし、レポート用紙の使い方が、指導案型レポートのように、比較的自由です。

例えば、下記のように、1マスあけて数式を縦に並べてもOKです。