PB3040_初等図画工作科教育法_2単位目



1.第2章第4~5節の要約と「絵に表す」の題材例

 小学校図画工作科における「絵に表す」と「版に表す」の概要を以下より記述する。

 まず、「絵に表す」についてであるが、ここでは、「思いのままに表す楽しさから、自己を見つめ、他者や社会を意識した表現へと広がりながら、発想や構想、創造的な技能などの能力を育成する学習」が意図されている。

 児童の発達段階を考慮して、低学年では「面白さや楽しさを感じる」が目標と指導内容で重視され、学年が上がるにつれて、「表し方の工夫」や「造形的な能力の向上」や「材料や用具の特徴を生かした使用」や「表現に適した方法」等の事項が目標と指導内容に現れる。共通事項に関しては、各学年に共通した「自分の感覚や活動を通して、形や色をとらえる」や「形や色を基に、自分のイメージをもつ」等の指導事項が存在するが、中学年では「組み合わせ」への注意が促され、高学年では「動きや奥行き」といった「造形的な特徴」への注意が促される点に違いがある。

 次に、小学校図画工作科における「版に表す」の概要を述べる。ここでは、「児童が工夫して楽しめる程度の版に表す経験や焼成する経験ができるようにする」が意図されている。つまり、「表現技法の一つとして版表現を位置づけ、児童が楽しみながら版をつくり、表現」することが「版に表す」の主眼といえる。なお、版画教育には、「版画制作の持つ抵抗性や計画性」に基づいた「教育的な意義」があり、版画学習では「作業性、行動性、労働性、社会性、共同性‐融和性、持続性‐継続性、他教科との関連性」が養われるとされている。

 以上を踏まえ、私が住んでいる地域の特性を生かした「絵に表す」の題材の概要を以下より記述する。

 対象学年を第三学年とし、近所の海辺にて、「見たままを表す」という題材名の写生大会を行う。「この時期の児童は、外部への視野が広がる時期であり、日常生活においても、初めての経験や出来事に対して感動や喜怒哀楽の感情的な体験も増してくる時期である」という児童観に基づき、海辺にあるものを児童に絵で表現してもらう。このような、海が近いという地域の特性を生かした教材を用いることで、地域との一体感を育み、身近な事物に目を向けることの面白さが実感できるであろう。指導時には、児童間での言語活動の充実を意図し、絵の具の混ぜ方や、マジックやクレヨン等の道具の使い分けに関する助言や、珍しい対象を描く児童の紹介を行う。「見たり、聞いたり、触れたりしたことや、集めた材料の色や形を組み合わせたりすることから感じ、自分の表したいことを思い付き、表しながら初めの計画を見直したり、偶然の発見をきっかけに新しい思いを膨らませたりする」(発想や構想の能力)を目標とし、展開は、「海辺の探索→写生→作品の説明・紹介」というものにする。

2.「評価の観点とその趣旨」の要約と教育評価の必要性

 図画工作科の評価の観点とその趣旨を以下にまとめる。

 図画工作科の作品に対しては、次の五つの観点から評価がなされる。①「造形への関心・意欲・態度」は、「自分の思いを持ち、進んで表現や鑑賞の創造活動を楽しみ、つくりだす喜びを味わおうとする」を趣旨とした観点である。これは、「子どもたちの造形表現を推進する原動力となる関心や意欲」に関する観点である。②「発想や構想の能力」は、「感じたことや考えたことなどをもとに、想像力を働かせながら自分らしい発想をし、よさや美しさなどを考え、豊かな表現を構想する」という趣旨の観点である。これは、「ものごと全体をイメージする豊かな想像力や問題解決のための新しいアイデアを発想する」能力に関する観点である。③「創造的な技能」は、「表したい思いや意図に応じて、創造的な技能を働かせたり、造形感覚を生かしたりしながら表し方を工夫する」という趣旨の観点である。④「鑑賞の能力」は、「造形作品などに関心や親しみをもち、そのよさや美しさなどを感じ取ったり、味わったりする」という趣旨の観点である。⑤「資質や能力の関連的・総合的な働き」は、上記四つの観点の関連を評価するという趣旨の観点である。児童の造形表現活動を観点別に捉えた上で、資質や能力が関係的・総合的に働いている様を評価する。  

 以上が、図画工作科において評価の際に用いられる観点とその趣旨である。上記を踏まえ、図画工作科における教育評価の必要性について、以下より述べる。

 教育評価は児童の「可能性の実現」を目的にして行われるものであるため、必要不可欠なものである。また、児童の「可能性の進歩の状況や変容」を継続的な評価により把握し、丹念に記録しておくことは、評価者である教員の支援力向上や評価力向上にも活用できる。例えば、大半の児童において、ある観点からの評価が低いという現象が生じた場合、教員は記録の参照により、児童に対する接し方や言葉掛けの内容を改善することができる。以上のことから、教育評価は、児童のためのみでなく、教員のためにも必要不可欠なものといえる。

参考・引用文献

藤江充・岩崎由紀夫・水島尚喜編著 『平成20年告示新学習指導要領による図画工作科指導法 理論と実践』 日本文教出版、2015年、p.13‐58、p.121‐141

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

200字程度の「私見」を述べることが求められていますが、残りは「概要」と「要約」を書くことを求めているので、ほとんど要約型レポートです。

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