PB3050_初等家庭科教育法_1単位目

課題
1.小学校家庭科におけるグループ学習の意義について説明しなさい。またグループ学習を行うと、より効果的だと考えられる指導例を考え具体的に述べなさい。
2.小学校家庭科の評価の観点と趣旨について簡単に説明しなさい。また生活技能を評価する際の留意点と評価法について説明しなさい。



 1.グループ学習とは、児童を6人前後のグループに分けて行う指導・学習形態である。グループ学習の意義は、児童同士で意見を交換し合ったり、協力して作業を行ったりすること等により、児童が互いに学び合う機会を提供できることにある。

 ただし、グループ編成の際には、学習指導の目的や学習内容等に合わせて、能力の同質な者や異質な者による編成、あるいは出席簿順による編成等を行うべきである。また、学習中に、各グループの特性に応じて、適宜教師が指導・助言することも必須である。さらに、学習活動の内容がグループごとに異なる場合があるため、教師は各グループの活動内容や結果を把握し、最終的に各グループ間で意見交換ができる場を設定する必要もある。

 上記のような、グループ学習の意義とグループ編成の留意事項を踏まえて、「献立の決定と調理」という題材を用いた指導例を以下より記述する。この指導例は、家族全員の好みを考慮しつつ、栄養バランスのとれた料理を作る方法の習得を目指すものであり、グループ学習が最適である。なぜなら、グループのメンバーである複数の児童を家族に見立てることで、生活の場で活用可能な「献立の決定と調理」の技能を、実践に近い形で習得することが期待できるからである。

 上記題材を用いた指導例の内容についてであるが、総時間数は4時間とする。前半の2時間で、グループのメンバー全員の好みと栄養バランスを考慮して昼食の献立を決定し、後半の2時間で、昼食を調理し皆で頂く。

 前半の2時間が特に重要である。ここでは様々な料理や食材がメンバーによって列挙される。例えば、カレーライスやざる蕎麦や味噌汁や牛乳等が挙げられることが予想される。次に、それぞれの料理や食材に含まれる栄養素を教科書や本等の資料を用いて特定し、足りない栄養素を他の料理や食材で補完できるか否かを検討する。例えば、ざる蕎麦をメインに据えた場合、これには炭水化物以外の栄養素が少ないため、列挙された他の料理や食材で、脂質や蛋白質や無機質やビタミンの補完を検討する。上記の料理や食材からであれば、牛乳と味噌汁を献立に加えることで、蛋白質と無機質を補完することができる。しかし、児童が列挙した料理や食材には、ビタミンを含むものが欠けている。そのため、このような場合には、ビタミンを含むサラダ等の料理を教師が児童に提案し、献立に加えるように指導する。

 このように、児童達が好みの料理や食材を挙げ、栄養バランスの観点からこれらを吟味し、意見交換をしつつ、適切な献立を全員で協力して導き出していく活動は、実生活で活用できる実用的な学びとなると考えられる。

2.小学校家庭科の評価の観点は、①家庭生活への関心・意欲・態度、②生活を創意工夫する能力、③生活の技能、④家庭生活についての知識・理解の4つである。

 それぞれの趣旨についてであるが、①の趣旨は「衣食住や家族の生活に関心をもち、家族の一員として、家庭生活をよりよくするために進んで実践しようとする態度」の育成であり、②の趣旨は「家庭生活について見直し、身近な生活の課題を見つけ、家庭科で学習した知識や技能などをもとに考え工夫して、自分なりに解決を図る能力」の育成であり、③の趣旨は「衣食住や家族の生活に必要な基礎的な技能を身に付け、自分の身の回りのことを処理して生活することができる能力」の育成であり、④の趣旨は「衣食住や家族の生活に関する基礎的な事項についての理解」の促進である。

 上記4つの評価の観点のうち、③の評価を行う際には、完成した作品や仕事の結果の評価だけでなく、指導過程における評価も重要である。なぜなら、家庭科の特質は、衣食住等に関する技能の、実践的な活動を通した習得だからである。模倣と反復練習による技能習得の過程も、結果と同様に重視されるのである。そのため、③の評価は、A知識・理解の側面、B技能行動の熟練度・正確さ・迅速さ等の側面、C技術や技能を使用して製作した作品、の3側面に対して行い、総合的に評価を行う必要がある。これらの3側面からの評価に用いる評価法についてであるが、Aの評価の際には、論文体テストや客観テストが有用である。Bの評価の際には、チェック・リスト法、評定尺度法、逸話記録法、観察法が利用できる。Cの評価の際には、チェック・リスト法、評定尺度法、一対比較法、等現間隔法、序列法、児童による自己評価、児童による相互評価等が利用できる。

 上記で列挙した評価法のうち、評定尺度法には注意が必要である。これには、記述評定尺度法、図式評定尺度法、点数評定尺度法の3種類がある。また、一対比較法は、全ての作品を比較して序列を決める方法であり、評価対象が多い場合には利用困難である。そのため、これを簡略化した序列法や等現間隔法が時に便利である。例えば、等現間隔法は、全作品の中から上・中・下という等間隔で存在する作品を見本として抽出し、残りの作品をこれらと比較しながら順位を付ける方法である。

 なお、評価に際しては、作品以外のものに対する印象が作品の評価に影響を及ぼす光背効果や、望ましい側面を過大評価し、望ましくない側面を過小評価してしまう寛大効果等の介入により、判断が歪められてしまう可能性がある。教師は上記を自覚して評価を行うべきである。

捕捉

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