要約型レポートの書き方
この記事では、
「レポートって、どう書けばいいの?」
という悩みを解決します。
レポートを書く手順
①課題のキーワードが詳述された箇所を、教科書から探して印を付ける
②キーワードの定義を、レポートの序盤で引用
③印を付けた箇所をエディタでまとめる
明星大学通信教育部のレポートに限らず、他の通信制大学のレポートも、この手順で書けます。
「~について説明しなさい」系の要約型レポートを書く時の基本は、~の定義を探して、これに関係した箇所を要約すればOKです。
具体例
私が実際に書いた上記のレポートを使って、具体的に解説致します。
①課題のキーワードが詳述された箇所を、教科書から探して印を付ける
課題は「子どもの愛着形成について説明しなさい」なので、キーワードは「愛着形成」ですね。
このキーワードについて書かれている箇所を、教科書から探します。
探し方は「目次から探す」と「索引から探す」の2つの方法があります。
目次から探す
「愛着形成」「愛着」などの言葉を探して、教科書の目次にざっと目を通します。
これかな?と思える箇所が見つかったら、ためらうことなく印を付けて、そのページに飛びます。
今回は、第3章の第9節があやしいですね。 上の画像のように、 鉛筆で下線を引いて、62ページに行きます。
索引から探す
「愛着形成」「愛着」などの言葉を探して、教科書の索引にざっと目を通します。
これかな?と思える箇所が見つかったら、ためらうことなく印を付けて、そのページに飛びます。
今回は、63ページが怪しいですね。上の画像のような感じで下線を引いて(鉛筆でOK)、63ページにGOです。
②キーワードの定義を、レポートの序盤で引用
①で探し当てた第3章の第9節から、「愛着形成」「愛着」などの定義を探します。
これかな?と思える箇所が見つかったら、ためらうことなく印を付けます。
今回は、63ページに「愛着」の定義がありました。上の画像のように、定義をまるっと囲むとOKです。
私が実際に書いたレポートでは、この定義は下記のように引用されています。
子どもの愛着の形成要因と形成過程を説明し、愛着形成と子どもの発達全般との関係について述べる。
まず、愛着という言葉が意味する内容についてであるが、これはアタッチメント(attachment)とも呼ばれ、「乳幼児が母親などのような特定の人との間に形成する情愛的な結びつき(affectional tie)」(塚田、2016)と定義されるものである。
この愛着の形成要因に関しては、(以下略)
「まず、~という言葉が意味する内容についてであるが」や「まず、~という言葉の意味についてであるが」という前置きをして、キーワードの定義を書くといいです。
なお、レポートの最初の2行は、このレポート全体のまとめになるので、レポートを一通り最後まで書き終えたあとで作ると楽です。
③ 印を付けた箇所をエディタでまとめる
さて、キーワードは「愛着形成」でした。
なので、「愛着」の定義周辺で、「愛着形成」や「愛着の形成」などの言葉がないか探します。
すると、63ページから67ページまでに、何度も「愛着形成」「愛着の形成」という言葉が見つかります。
そして、様々な実験の具体的で細かい内容が、いたるところに出てきます。
しかし、実験の詳細は軽く読み飛ばして、見出しだけを追います。
見出しを追いながら、軽く本文を読むと、「2.愛着の形成要因」→「3.形成過程」→「4.愛着と基本的信頼感」という流れが把握できます。
この流れに沿って、 63ページから67ページまでを要約した文章を、「愛着」の定義以降に書いていけば、レポートは完成です。
要約のコツ
では、要約は、どのように行えばいいのか?
要約のコツは、細かい具体的な文章は放置して、重要な接続詞に気を付けながら、各段落の内容を代表する抽象的な文章を拾って、つなげていくことです。上の画像のように、段落の始めの逆接の接続詞や、段落の最初の1~2行を囲んでおいて、あとでつなげれば、だいたいOKです。
今回は、キーワードの「愛着形成」に関係した実験ばかり出てくるので、「愛着形成に関する実験の内容を説明する短文」と「その実験の結果」に絞って、印を付けていくと良いです。その際には、「愛着形成」というキーワードだけでなく、見出しの内容と深い箇所かどうかも判断して下さい。
たとえば、63ページに「愛着行動」というなんだか重要そうな言葉が登場していますが、「愛着形成」と深く関係しているものの、63ページにある見出し「2.愛着の形成要因」自体に関する情報ではないので、「愛着行動」 は無視します。 「愛着行動」 は、愛着形成の後に生じる現象なので、今は重要性が低いです。
このようにして、印付け作業を、67ページまで続けていきます。
65ページ上から5行目の「①授乳された対象が、必ずしも愛着の対象にはならない」や「③やわらかく暖かい身体接触は、恐怖をしずめ安心感を生じさせる」や「④それは、対象を~」は無視します。「2.愛着の形成要因」に直結した情報だけを拾っていきます。
65ページの最終段落は注意が必要ですね。「愛着の形成要因」が段落後半に登場しているので、段落前半ではなく、段落後半に印を付けます。臨機応変に、 「 2.愛着の形成要因 」 という見出しに沿った文章を拾っていきます。
66ページでは、愛着の形成過程が①~④まで列挙されているので、これら全てに印を付けます。これらは、「3.形成過程」という見出しの内容と合致した文章です。
66ページ後半から67ページまでは、「4.愛着と基本的信頼感」という見出しに合った箇所に印を付けていきます。
67ページの上から14行目に「基本的信頼感」の定義があります。これも外せません。これは今回のレポートのキーワードではありませんが、「4.愛着と基本的信頼感」という見出しに含まれている言葉なので、定義に印をつけます。
重要な内容だけれども、同じ内容の言い換えが何度も登場してくることがあります。このような時は、これらを代表する文を一つだけ選んで、印を付けておけば良いです。
以上で、作業の8割は完了です。
64ページが完全無視されている理由
ところで、64ページは丸々無視されています。
これは、64ページが実験の細かい手順ばかりだからです。要約のコツは細かいところを無視することです。
印を付けた箇所をエディタにまとめる
印を付け終わったら、これらをワードなどのエディタに、何も考えずにガーっと入力します。
全部入力した後で、並べ替えたり、体裁を整えていきます。
この時に、レポートの最初の1~2行の文章を作ると良いです。キーワードと深い関係のある見出しの言葉を合体させれば簡単に作れます。こうすると、レポートの内容全体を大雑把に網羅した文章ができます。
不合格だった場合
ここまでレポートの書き方を偉そうに解説してきたのですが、この書き方で書いたとしても、不合格になることがあります。
実は、今回解説した児童心理学1単位目のレポートは、一回目の提出時に、不合格になりました。
なぜ不合格になったのか?
一回目のレポートでは、レポート前半で、私は次のように書きました。
この愛着の形成要因に関しては、子どもの空腹や渇きやおむつの不快などを解消し、子どもの生理的欲求を充足する母親に対して子どもが愛着を形成していくとする、動因低減説によってこれまで説明がなされてきた。しかし、現在では、様々な実験により、愛着を形成する要因として、以下の事柄が現在は指摘されている(塚田、2016)。
① やわらかく暖かい身体接触
② 視覚的・聴覚的・嗅覚的な接触
(以下略)
この一回目のレポートに対する講評は、次のようなものでした。
形成要因については、具体的な研究例も挙げて下さい。
そこで私は、二回目に提出したレポートで、次のような修正を行いました。
この愛着の形成要因に関しては、子どもの空腹や渇きやおむつの不快などを解消し、子どもの生理的欲求を充足する母親に対して子どもが愛着を形成していくとする、動因低減説によってこれまで説明がなされてきた。しかし、ハーロウによる赤毛ザルを用いた実験や、カイアンズによる小ヒツジとイヌを用いた実験や、エイスンワースによるストレンジ・シチュエーションという方法を用いた実験により、愛着を形成する要因として、以下の事柄が現在は指摘されている(塚田、2016)。
① やわらかく暖かい身体接触
② 視覚的・聴覚的・嗅覚的な接触
(以下略)
太字の箇所が修正箇所です。新たに文章を付け加えました。
要約のコツは細かいところを無視することですが、私は実験内容の説明を省きすぎたようです^^
こういう場合は、評価者の先生の指示通りにレポートを修正すればOKです。
小論文型レポートの書き方について
要約型レポートの変形版として、小論文型レポートというものがあります。
「~について考えを述べよ」「~に関する私見を述べよ」などのような、レポート執筆者の考えを求めるレポートは、小論文型レポートです。
小論文型レポートには、下記の要素が必要です。
①自分の考えを主張する(私は~と考える)
②根拠・理由を述べる(なぜなら、~だからである)
③具体例やデータを適宜挙げて②を補強する
上記①~③を1回以上含ませたレポートが、小論文型レポートです。
小論文型レポートでは、「自分の意見を決めて、その裏付けとなる情報を指定の教科書から抜き出していく」という形で、教科書の要約を行うことになります。
なので、要約型レポートとほとんど変わらないです。
明星大学通信教育部のレポートでは、指定の教科書の内容に基づいて小論文を書けばいいので、看護学校や大学などの入試試験での小論文とは、スケールがやや異なります。
しかし、社会に出ると、様々な局面で、小論文を書くテクニックは役に立つので、覚えていて損はないです。
小論文型レポートを本格的に学びたい方には、以下の本がおススメです。
上記の本を使えば、かなり効率的に、小論文を書くテクニックが手に入ります。
また、福嶋さんの本は、小学生以上の子どもから社会人までの幅広い層に、国語や文章の書き方を指導する際に使えます。