PB3080_特別活動の指導法_1単位目


 
 小学校における特別活動の目標とその教育的意義について、以下より、これらの内容を述べる。

 はじめに、特別活動の目標についてであるが、これは、2008(平成20)年3月に告示された小学校学習指導要領において、「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、自己の生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養う」ことと規定されている。

 上記の規定において特質すべき点は、「自己の生き方についての考えを深め」の箇所が、小学校学習指導要領にて規定された「道徳の時間」の目標に存在する文言であることである。このことから、特別活動は、道徳実践の場として捉えることができる。

 また、上記の規定には、次の4つの文言も存在している。①望ましい集団活動。②心身の調和的発達。③個性の伸長。④自主的、実践的態度の育成。以下より、これらの詳細を述べる。

 まず、①の「望ましい集団活動」についてであるが、学校教育における集団には、各教科の学習における集団と、特別活動における集団の2種類がある。前者は、効率的な学習指導を行うために便宜的に採られた形態であり、実際は個別指導を行うことが望ましいといえる妥協的なものであるのに対し、後者は、集団であること自体に意味がある。後者では、集団活動を通して、児童生徒が人間関係のあり方を経験し、個性や能力や協調性を養うことが期待されている。前者では、教師と児童生徒の関係は、教える者/教えられる者という非対称な関係であるが、後者では、概ね対等な関係といえる。

 次に、②の「心身の調和的発達」についてであるが、これは、教科学習や受験勉強とは一線を画した、学級活動やクラブ活動を指す。具体的には、ゲーム等を通した緊張の緩和や、スポーツ等を通した体力作り等の活動を指す。一般的に、児童生徒には、教科学習の負担ばかりがかかり、情意的・精神衛生的側面の指導が疎かになりがちである。特別活動には、このような状況を改善する目的もあるということである。

 次に、③の「個性の伸長」についてであるが、「個性」とは、「ある人が明らかに他の人から区別されるその人特有の性質」である。そのため、「個性の伸長」は、「かけがえのない、取り替えたり、譲り渡したりすることのできない、他によって侵すことのできないその人の持ち味、その人らしさ」を伸ばすことを意味する。児童生徒の個性を尊重し、これを伸長していくことが、特別活動では意図されているといえる。

 最後に、④の「自主的、実践的な態度の育成」は、自由度が高く、自己選択の幅の広い特別活動を通して、児童生徒が主体的に物事に取り組み、実践の喜びを体験することを目的としている。特別活動は、各教科の学習とは、自由度の点で大きく異なるが、「各教科で学習した個々の知識を特別活動の内容に生かし、また逆に特別活動での問題を教科学習の中で深める」という両者の強い結び付きが存在する。集団における問題を解決するという、特別活動における実践は、各教科の学習と組み合わせることで、達成されるといえる。

 以上が、小学校学習指導要領における特別活動の目標の内容である。次に、上記を踏まえた上で、小学校で特別活動を展開することの教育的意義について、以下より述べる。

 特別活動の教育的意義は、特別活動において「集団」と「教科学習以外の活動」が重視されているという事実を踏まえると、「一人ひとりの児童生徒が様々な集団に所属して活動することによって、児童生徒の人間関係も多様になり、生活経験も豊富になる」ことと、「実際の生活経験や体験活動による学習、すなわち「なすことによって学ぶ」ことを通して、全人的な人間形成を図る」というものであるといえる。

 特別活動の教育的意義は、より具体的には、以下の5つに整理できる。①集団の一員として、なすことによって学ぶ活動を通して、自主的、実践的な態度を身に付けられること。②教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間的な触れ合いを基盤とする活動であること。③児童生徒の個性や能力の伸長、協力の精神などの育成を図る活動であること。④各教科、道徳、外国語活動及び総合的な学習の時間などの学習に対して、興味・関心を高める活動であることや、各教科等で培われた能力などが総合・発展される活動であること。⑤道徳的実践を効果的に展開できる重要な場や機会であることを積極的に生かして、知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性や社会性の育成を図る活動であること。

 以上、小学校における特別活動の目標とその教育的意義の内容を概観してきた。教科学習だけでは達成できない児童生徒の発達。これを可能にすることが、特別活動の目指すところだといえる。

参考・引用文献

鯨井俊彦編 『特別活動の展開』 明星大学出版部、2016年、p.9‐13

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

教職入門のレポートの評価者と同じ先生が、評価していますね。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。

ちなみに、特別活動といえば、沖縄では学習発表会などの機会に、子どもによる空手の演武が行われることがあります。

小学校でも中学校でも高校でも、教員の中には一人や二人、空手の有段者が必ずいました。

有段者の先生の指導のもと、体育館や運動場などで、子どもたちは空手の型を練習するわけです。

そのため、早ければ小学校の時点で沖縄の子どもたちは、空手に触れることになります。

私の場合、小学校5年生の時に、少林流の有段者である担任の先生から、ナイハンチ初段と平安初段という型を教えてもらいました。

あれから30年以上経った今でも、ナイハンチ初段や平安初段の型を私は稽古しているので、学校での特別活動の時間は、私の人生に確実に影響を与えています。