PL2050_特別支援学校教育課程論_2単位目

課題
1.各教科等をあわせた指導(旧・領域教科をあわせた指導)の種類と知的障害教育における授業作りの特徴について述べよ。
2.個別の指導計画と個別の教育支援計画の定義と両者の関係について論ぜよ。



1.各教科等をあわせた指導の種類と知的障害教育における授業作りの特徴を、下記より述べる。

 はじめに、知的障害のある児童生徒の特性として、次の4つを確認しておきたい。①学習で得た知識や技能が断片的になりやすく、実際の生活の場で応用されにくい。②成功経験が少ないため、主体的に活動に取り組む意欲が不十分。③実際的な生活経験の不足により、抽象的な内容の指導よりも、実際的・具体的な内容の指導が効果的。④一貫した関わり方や継続性の確保、周囲の理解等の環境条件の整備により、学習活動への主体的な参加や経験の拡大を促進する必要があること。これらの特性を踏まえることが、以下に述べる各教科等をあわせた指導や、知的障害教育における授業を行う際の前提である。

 各教科等をあわせた指導の種類についてであるが、これは次の4つである。①日常生活の指導(児童生徒の日常生活の充実と向上を意図した、日常生活の諸活動の指導)、②遊びの指導(意欲的な活動と心身の発達を意図した、身体活動の活発化と仲間との関わりの促進)、③生活単元学習(生活上の目標の達成や課題解決を意図した、自立的な生活に必要な事柄の実際的・総合的な学習)、④作業学習(働く意欲の育成を意図した、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄の総合的な学習)。

 次に、知的障害教育における授業作りの特徴についてであるが、①教科別に指導を行う場合と、②領域別に指導を行う場合に分けて説明する。

 まず、①についてであるが、この場合の教科内容や授業時数は、児童生徒の実態により決まる。個々の児童生徒の興味・関心、学習状況、生活経験を十分に考慮し、内容を個別的に選択・組織する必要がある。また、生活的なねらいを学習活動にもたせて、生活に即した活動を取り入れた段階的な指導も不可欠である。さらに、児童生徒の個人差が大きい場合は、一斉授業ではなく、小集団や個別での指導を行わなければならない。なお、指導計画は、他の教科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動、自立活動等と関連させて作成される。

 次に、②についてであるが、これは次の領域を単独で指導するものである。①道徳(道徳的実践力の育成を意図し、個々の児童生徒の興味・関心や生活に密着した具体的な題材を用いた、実際的な活動や視聴覚機器を取り入れた指導)、②特別活動(各教科、道徳、自立活動及び総合的な学習の時間との関連を図り、小中学校の児童生徒や地域の人々との活動を含む活動)、③自立活動(障害による困難の改善・克服を意図した指導)。

 以上が、各教科等をあわせた指導の種類と知的障害教育における授業作りの特徴である。


2.個別の指導計画と個別の教育支援計画の定義と両者の関係について、以下に論ずる。

 まず、個別の指導計画の定義についてであるが、これは、各教職員の共通の理解の下に、個々の児童生徒の実態に応じた適切な指導を実現させるために、自立活動や各教科等に関して作成されるものである。各教科や道徳等、または、学級等ごとに作成する指導計画に、個々の児童生徒に対する指導上の配慮事項を付記し、個別の指導計画としてもよい。作成した個別の指導計画の適切性を調べるために、計画─実践─評価─改善の過程で適宜評価を行い、指導内容や方法を改善していくことが求められる。

 次に、個別の教育支援計画の定義についてであるが、これは、家庭及び地域や医療、福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点で幼児児童生徒への教育支援を行うために作成されるものである。個別の教育支援計画の作成時には、関係機関等が役割を分担し、幼児児童生徒の実態を多面的に捉えて情報収集し、国際生活機能分類ICF)の考え方等を参考にしながら、必要な支援の目標や内容を決定する。

 小学部入学前の幼稚部や幼稚園や医療、福祉等の関係機関において、個別の教育支援計画が作成された場合、これは小学部以降の教育機関等に引き継がれ、活用されていく。幼児児童生徒の様々なライフステージにおいて、適切な支援目標や支援内容を設定する際や、幼児児童生徒の実態や支援内容に関して関係者間で共通理解を図る際に用いられていく。個別の教育支援計画の内容は、個別の指導計画と同様に、評価を適宜行うことで改善していく。なお、個別の教育支援計画は個人情報に該当するため、その利用には十分な保護の意識が必要である。

 最後に、個別の指導計画と個別の教育支援計画の関係についてであるが、後者は、小学部入学前から就労までの長期間にわたって幼児児童生徒を支援するものであり、前者は後者を踏まえつつ、幼児児童生徒が身を置く様々な節目での効果的な指導を実現させるものといえる。いわば、個別の指導計画と個別の教育支援計画の関係は、個別の教育支援計画という一本の太い横糸に、個別の指導計画という複数の縦糸が交差しているような関係であり、これら2つの糸の結節点において幼児児童生徒の教育を、力強く支えるものといえる。

参考・引用文献

文部科学省編 『特別支援学校学習指導要領解説 総則等編(幼稚部・小学部・中学部)』 教育出版、2015年

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。

明星大学のスクーリングで、特別支援教育の授業を私は受けました。

その際に、国際生活機能分類ICF)の考え方に初めて触れました。

「よくこういう捉え方を考え付いたな~」と感心したのを覚えています。

国際生活機能分類ICF)は、障害を、個人のみに還元するのではなく、個人を取り囲む環境との兼ね合いから捉えるという、私にとっては非常に新鮮な考え方でした。