PA1000_介護等体験_1単位目

課題

1.テキストに紹介されている社会福祉施設より1つの施設種別を選び、その施設について調べ学習を行い、役割やケアの内容、利用児者の実態、課題について、論述しなさい。

2.WHOが2001年に示した「国際生活機能分類」において、『障害』とは「心身機能の状態から生じる制限」「日常生活や社会生活に関する活動能力の制限」「日常生活や社会生活への参加の制限」であることが示されています。これらの制限は、建物・利用できるサービス・補助具・ひとびとの態度などの環境要因によって、変化させることが可能です。環境によって生じる制限には、どのようなものがあるのか、あなた自身の経験にもとづいて具体的に記述し、問題の焦点と改善方法を考えなさい。



1.社会福祉施設には様々な施設が存在するが、以下より生活介護事業所を取り上げ、その役割とケアの内容、利用児者の実態、課題について論述する。

 生活介護事業所とは、障害者に対して介護や生活支援を行う施設である。定員は20人以上であり、障害者総合支援法に基づいて運営されている。平成25年10月1日時点では、全国に5595か所の施設があり、約10万人の利用者が存在している。利用者は、常時介護等の支援が不可欠な18歳以上の障害者であり、障害の程度は様々に異なる。障害程度区分で言えば、3以上の者(50歳以上の場合は2以上の者)が生活介護事業所を利用している。

 生活介護事業所の役割は、人権や人間の尊厳を重視しつつ、利用者の生活を支え、一人ひとりが充実した人生を送るために必要な活動を行うことである。

 ケアの内容についてであるが、個別支援計画に基づいて、入浴、排泄、食事、介護、着替え、整容等の日常生活上の支援や、創作活動や生産活動の機会提供と支援等が行われている。

 生活介護事業所の実態についてであるが、いつ何時も注意を怠れない場所といえる。例えば、利用者の中には、てんかん発作を起こして倒れてしまう方もいるため、生活支援員は自分が担当している利用者だけでなく、常に全ての利用者の動向を把握しておかなければならない。また、生活支援員の腕に噛み付いてくる利用者に対しては、怒鳴ってその行為を諫めようとするのではなく、どのような条件が揃った時にこの利用者は人を噛むのか、どのような生活支援員にはこのような行為をしないのか等の分析をし、利用者の特性に応じた適切な対応方法を模索することが大切である。なお、噛み付かれた場合には、噛み付いている利用者の鼻をそっと摘むことで、噛むことを自発的にやめるように促すことが応急処置として有効である。現場の同僚と密に情報交換し、様々な状況に臨機応変に対処するための技術を共有することが重要である。

 最後に、生活介護事業所の課題についてであるが、いわゆる65歳の壁と呼ばれる課題が存在する。利用者が65歳以上になると、障害福祉制度よりも介護保険制度が優先され、これまで受けることのできた支援が打ち切られたり、支援を受けるために支払う自己負担額が増加したりする問題である。障害者が高齢者と結果的に同一視されるこの状態を是正し、65歳の壁を取り払うことが、生活介護事業所だけでなく、今後の全ての社会福祉施設における重要な課題といえる。

2.インクルーシブ教育や、共生社会や、合理的配慮等の考え方が普及し、障害を作り出す環境的な制限が次第に取り払われつつある。例えば、足が不自由な人には、足が不自由という点で心身機能の制限が存在するが、バリアフリーの徹底された道路や公共機関や建物が整備されていれば、車椅子を利用することで日常生活や社会生活に参加し、自らの活動能力を取り戻すことができる。昨今では、階段や電車等の利用時に補助員の支援が得られるようにもなっており、一頃と比べると格段に状況は改善されてきているといえる。

 しかし、依然として強固に存在している制限を、私は去年受講した明星大学での「肢体不自由者の指導法」の授業をきっかけにして知ることとなった。授業では「男たちの旅路」という約40年前に製作されたTVドラマの「車輪の一歩」という回を視聴したのだが、そこでは異性と付き合う機会がなく、風俗店で入店を拒絶されてしまう障害者の男性が描かれていた。

 約40年前に製作された作品であるため、現状は異なるだろうと推測し、その後私は上記問題について情報収集を行った。その結果、障害者の性の欲望は、身近な人々により抑圧される傾向にあり、この制限に加えて、ドラマで描かれていたような、性欲を処理する手段の制限が現在も少なからず存在していることを知るに至った。

 障害者の社会参加や自立だけでなく、障害者の性に関しても、周囲の抑圧的な態度に異議申し立てを行い、当事者達が声を上げて問題化し、様々な実践を行ってきたという歴史がある。また、最近では、障害者の性の悩みを当事者達が語り合うTV番組も存在する。しかし、障害者の性に関する話題は未だにタブー視されることがあるようである。性の欲望を誰もが持つものとして多くの人々が素直に認め、この欲望の適切な充足の仕方について常に真剣に語ることのできる環境はどうすれば実現するのであろうか。

 上記課題を解決するには、私自身をも含めた一人ひとりの日々の実践が重要になってくると考える。障害の有無に関わらず、性に関する話題を公の場に持ち出すことは難しい。しかし、食欲や睡眠欲と同じような、人間に備わる根源的で無視できない欲望として性欲に言及し、これについて議論できるように努めることから始めるしかないと考える。

参考・引用文献

増田雅暢著 『よくわかる社会福祉施設─教員免許志願者のためのガイドブック』 全国社会福祉協議会、2016年

捕捉

このレポートは、課題1が要約型レポート、課題2が小論文型レポートです。

課題2の難度が、やや高めです。

私は明星大学のスクーリングで得た情報を基にして、課題2のレポートを作成しました。

授業で得た情報をレポートに書けば、不適切と判断されることはない、と私は考えています。