PL4030_重複障害・LD等教育の 理論と実際_1単位目

課題
1.学習障害(LD)、ADHDの特性及び学習・行動支援の方法(機能分析等)、課題について、まとめよ。
2.自閉症スペクトラム障害の特性と構造化を用いた学習・行動支援の有効性について述べよ。



1.LDとADHDの特性と学習・行動支援の方法、課題について、以下より述べる。

 はじめに、LDについてであるが、これは「全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態をさすもの」である。

 LDの特性として、発達性読み書き障害が挙げられる。これはLDの中核を占める障害であり、LD児の多くが読み書きに関連した活動全般に対する意欲をなくしており、自信喪失や自己否定に陥っている可能性がある。そのため、教員や保護者等の身近な人々が理解者として寄り添い、彼らに適した方法を提供し、達成感が得られる環境調整をすることが大切である。その際には、自己肯定感の獲得と二次障害の回避を意図し、障害のある経路ではなく、良好に保たれた経路を活用することが有効である。また、コンピュータのスペルチェック機能、録音機器、朗読本、講義ノート、50音表を使ったバイパス法等の活用も効果的である。

 次に、ADHDについてであるが、これは「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの」と定義される。

 ADHDの特性として、不注意(ケアレスミス、忘れ物、人の話を聞けない、作業放棄)、衝動性(順番の無視、人の言動の無視、思いつくとやらずにいられない)、多動性(手足の運動、授業中の離席、多弁)が挙げられる。ADHDの子どもには、指導内容の工夫(課題の分割による見通し作り、カードや印等の視覚的手段の活用、不要物の撤去)、自己肯定感の向上(得意分野を見つける、目標を立てて取り組み成功経験を作る)、感情の制御(ABC分析に基づいた問題行動の誘引や結果の消去、問題行動を適切な行動へ置換する機能的コミュニケーション訓練)、薬の活用(必要な支援を薬で症状を鎮めている間に行う)等の配慮や支援が効果的である。

 最後に、LDやADHDの課題についてであるが、これらの発達障害を抱える子どもは、一般の小中学校に6.5%存在するという事実が文部科学省の調査により判明しているものの、教師やクラスの仲間やその保護者の理解不足により、誤った指導やいじめや不公平の指摘が後を絶たない。LDやADHDの子どもの特性に関する正確な情報と、彼等に適した学習の仕方や接し方があることを浸透させるためにも、各学校における特別支援教育コーディネーターの育成や、教師や保護者を対象にした研修会や講演会の充実に、今以上に注力する必要がある。

2.自閉症スペクトラム障害(以下、ASDと略する)の特性と構造化を用いた学習・行動支援の有効性について、以下より述べる。

 ASDは、DSM5によると、「コミュニケーションや対人交流に関する問題が複数の場で持続的に認められること」と「限定された行動、関心、活動パターンの2つ以上が繰り返し認められること」と「社会生活や仕事その他の生活の領域で大きな支障が生じていること」の3つの特徴が見られる状態とされる。

 ASDの主な特性として、①感覚の過敏性と鈍感性(聴覚・味覚・臭覚・触覚等の感覚刺激に対する強い不安や緊張や著しい拒否反応、ある特定の要素のみに対する限定的な反応)、②活動の見通しを立てる際に必要な時間や空間を構成する想像力が弱いために、行動の反復・限定的な興味関心・同一性への拘りにより、情報や刺激に溢れた混沌とした世界へ適応する(ハンドフラッピング、ロッキング等)、③意味理解の弱さ(文脈への気付きと持続的な着目が難しく、物語や場面の全体的な意味の理解が困難)、④社会性・他者とのコミュニケーションの困難(他者の感情や欲求や考えの理解が難しく、自分の感情に気付いて他者に伝えることも苦手)、が挙げられる。

 ASDの子どもには、次のような学習・行動支援が有効である。①認知や感覚の特徴を理解し、肯定的に対応する(ASDの共通特性と、個々の子どもに固有の特徴を理解して適切に接し、二次障害の発生を防ぐ)。②情報が整理された、分かりやすい環境の整備(学校空間の使い方や時間割を視覚的に構造化する。予定や活動の流れが一目で分かるように工夫し、今後の見通しを子どもが持てるようにする)。③社会性の発達の支援(子ども特有の言葉遣いを周囲に通訳する、子どもの興味や拘りを活かせる活動に子どもを従事させる、周囲との関わり方を一つひとつ具体的に指導する)。

 上記のうち、特に②は重要である。なぜなら、教室や学校内の環境の構造化により、ASDの子どもは、いつどこで何をするべきかが把握でき、落ち着いて学習に取り組めるからである。教室や学校内の環境の構造化は、「活動の見通しを立てる想像力の弱さ」というASDの特性に沿った工夫といえる。

参考・引用文献
島田博祐・星山麻木著 『実践に生きる特別支援教育』 明星大学出版、2016年
梅永雄二・島田博祐著 『障害児者の教育と障害発達支援』 北樹出版、2016年

捕捉

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