PL3070_重複障害LD等教育の心理生理病理_2単位目

課題
1.重複障害(重度・重複障害を含む)の概要(定義、原因、分類等)と心理特性について述べなさい。
2.LD・ADHD自閉症スペクトラム症(自閉性障害)の各概要(定義、原因、分類等)と心理特性について述べなさい。



1.重症心身障害の概要(定義、原因、分類)と心理特性について、以下より詳述する。

 重複障害は、2つ以上の障害が存在する状態を指す。例えば、知的障害と肢体不自由が重複する状態や、聴覚障害視覚障害が重複する状態等、様々な組み合わせが存在する。その中でも、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する状態は、重症心身障害と呼ばれる。

 重症心身障害の原因は脳の障害である。具体的には、感染・中毒、代謝障害、母体の疾患、染色体異常等の出生前の原因、分娩異常、新生児期の異常等の出生時・新生児期の原因、外因性障害、症候性障害等の周生期以後の原因が挙げられる。分娩異常の発生率が最も高く、その内訳は「低酸素症または仮死」や「機械的損傷による脳障害」である。これに、「髄膜炎脳炎」や「脳外傷」等の外因性障害が続く。

 重症心身障害の分類方法として、大島の分類と厚生省の分類が知られている。大島の分類は、縦軸に知能指数の数値を示し、横軸に「ねたきり」「すわれる」「歩行障害」「あるける」「はしれる」の5項目を示した表を用いた分類である。表は25分割され、それぞれの正方形に番号が付されている。障害の程度はこの番号で表され、重症であるほど番号は小さくなる。重症心身障害者に該当する番号は1~4である。つまり、横軸の表記が「すわれる」か「ねたきり」であり、かつ、縦軸の知能指数の値が35以下の者が、重症心身障害者となる。一方、厚生省による重症心身障害児の分類は、障害をⅠからⅣまでの型に分けるものである。Ⅰ型は「重度精神薄弱と重度肢体不自由」に、Ⅱ型は「重度精神薄弱と肢体不自由」に、Ⅲ型は「精神薄弱と重度肢体不自由」に、Ⅳ型は「精神薄弱と肢体不自由」に該当する。

 重症心身障害児の心理特性についてであるが、その多くが、「反応に乏しい」「反応があったとしてもこちらがその意味を理解できない」「こちらの働き掛けを理解していない」と捉えられており、意思疎通が困難だと考えられている。しかし、一般的な乳児と同様に、定位反応優勢から期待反応優勢になることが確認できるため、彼等は独自の仕方で能動的に外界と関わり発達している存在といえる。また、微笑行動から彼等の精神活動の推測が可能である。自傷や常同行動等の自己に向けられた行動障害が、攻撃的反応的態度や他害等の他者に向けられた行動障害よりも多い。5割強が1歳レベル未満の発達段階であり、移動運動、理解能力、表現能力、対人関係等の領域間での発達がアンバランスである。

 以上が、重症心身障害の概要(定義、原因、分類)と心理特性の内容である。

2.LD・ADHD自閉症の各概要(定義、原因、分類)と心理特性について、以下より詳述する。

 はじめにLDについて述べる。LDは、文部科学省によると、「基本的に全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を」と定義される。原因は不明であるが、中枢神経系の機能障害が原因として推定される。LDの特性は、①学力の困難、②言葉の困難、③社会性の困難、④運動の困難、⑤行動の困難に分類される。①は狭義のLDに対応し、②と③は教育におけるLDに対応する。③~⑤はLDの中核症状ではないが、LDに伴い易い特性である。LDの心理特性として、不適応や自尊心低下が挙げられる。知的機能が平均以上のLD児は、努力で躓きの補償が可能であるが、強いストレスにより不適応な反応が生じることがある。一方、知的機能が平均未満のLD児は、周囲の状況理解の難しさにより、対人関係での摩擦が生じ易く、自殺企図等の二次障害に陥ることがある。

 次にADHDについて述べる。ADHDは、文部科学省によると、「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの」と定義される。LDと同じく、中枢神経系の機能不全が原因として推定される。DSM5では、ADHDは、不注意優勢状態、多動性/衝動性優勢状態、これらの混合状態の3つに分類される。このうち混合状態がADHD全体の約5割を占めると報告されている。ADHDの心理特性として、実行機能(未来のゴールへと到達するための適切な構えの維持に必要な様々な心理機能の包括的概念)の困難、あるいは自己制御の弱さが挙げられる。すなわちADHDには、反応するべき刺激を見逃したり聞き逃したり、反応するべきではない刺激に反応したりする傾向が指摘できる。

 最後に、自閉症について述べる。自閉症は、「引きこもり、同一性保持の強迫的な欲求、遅延性反響言語」を特徴とする症例に対してカナーが与えた名称である。しかしその後、ウイングにより、健常者や高機能自閉症や知的障害やカナー型の自閉症を含む、連続した一続きのものとしての自閉症スペクトラム障害(以下、ASDと略する)が提唱された。ウイングによると、ASDは、「関わりの障害、コミュニケーションの障害、拘りの障害」によって定義されるものであり、その心理特性は、特定の人以外を避ける孤立型、自発性が乏しい受動型、独自の奇異な仕方で人と関わろうとする積極・奇異型に分類される。LDやADHDと同じく、脳の機能障害が原因として推定される。

捕捉

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