PL2040_病弱者の心理・生理・ 病理_2単位目

課題
1.病弱教育の児童生徒をトータルケアする方法について論ぜよ。
2.学校、保護者、地域との連携を理解し、現代社会の課題を理解し、まとめよ。



1.病弱教育対象の児童生徒をトータルケアする方法について以下より述べる。

 トータルケアとは、患者の生活の質(QOL)を重視し、様々な側面から患者に対して行われるケアの総称である。例えば、長期の入院生活を余儀なくされている病弱の児童生徒に対しては、医師や看護師による医療的側面・心理的側面からのケア、院内学級担当教員による教育的側面からのケア、ソーシャルワーカーによる経済的側面からのケア等が行われる。その他にも、ケースによって、理学療法士や薬剤師や栄養士や音楽療法士や宗教家やボランティア等、様々な分野の専門家がケアに参加することもある。

 トータルケアを行う際には、チームでの働き方を洗練させる必要がある。専門職が単に集まるだけでは不十分であり、各専門職がそれぞれの持ち味を生かして機能できるような工夫が重要である。チームによるトータルケアの理想的な実践方法について、国立特殊教育総合研究所による『ターミナル期における教育・心理的対応に関する研究』では、次の5つの留意点が挙げられている。

①目標の共有(ケアの目標を専門職全員が共有することで、自他の役割と必要性と責任が理解でき、互いに尊敬の念が生まれ、協働への動機付けが高まる)

②専門性を磨く(各専門職は自分の専門分野に関する知識・技術を常に高め、医師の指示がなくとも、自らの出番を自分で見極めて積極的に行動する。これにより、互いの信頼感が高まり、ケアのレベルが上がる。)

③情報共有・意見交換の場の設定(全専門職でのコミュニケーションの機会を定期的に設け、チーム全体の意思決定に全専門職が参加できる体制を整える。これにより、チームの一員という自覚が強化され、チームに貢献しようという気持ちが高まる。)

④違いを認め合う(互いの専門性に起因した意見の差異を、否定するのではなく、むしろ歓迎する。これにより、新たな考え方や発見が得られる。)

⑤調整役の設置(チームには指示を一方的に与えるリーダーではなく、各専門職の力を引き出し、全体の力としてまとめる調整役を置く。)

 院内学級担当教員に的を絞り、以上の留意点を踏まえたその働き方について述べるならば、「児童生徒の興味関心に基づいた、生きる意欲を引き出す教科指導に加えて、病状の変化や身体的苦痛や心理的葛藤・不安を察知し、これらを院内学級での様子や実態と含めて情報発信し、チームで共有する」というものになるだろう。

 以上が、病弱教育対象の児童生徒をトータルケアする方法である。

2.学校、保護者、地域との連携方法と、現代社会の課題について以下より詳述する。

 はじめに、学校と保護者との連携方法についてであるが、学校の代表として一人ひとりの教員が、次の4点に留意することが肝要である。

①保護者の気持ちや行動を理解する(保護者には、子どもに障害がある場合、このこと自体や子育てに過剰に責任を感じて思い悩む傾向がある。保護者との連携を進めるには、保護者の苦悩を推し量り、その内容を想像し、共感的に理解しようと努めることが必要である。)

②謙虚な態度で専門性を磨く(保護者は、教員に相談経験が不足している場合や、保護者の方が教員よりも知識を持っている場合や、教員が保護者に客観的な証拠を備えた説明ができない場合に、不安に陥るものである。そのため教員は、保護者から学ぶ謙虚な姿勢を維持しつつも、自らの専門性を常に高める。)

③保護者と会う機会を増やす(教員は、様々な場を利用して保護者と直接言葉を交わすべきである。立ち話や連絡帳や教育相談や会議等の機会を利用して可能な限り会話し、信頼関係を構築する。その際には、共感重視のカウンセリングマインドが必須である。)

④わかる授業の充実(教員は、教科指導の質を高めて児童生徒を魅了することにより、間接的に保護者の信頼を得ることができる。この信頼は保護者との連携につながる。)

 以上が、学校と保護者の連携時に留意すべき点である。次に、学校と地域との連携時に留意すべき点を述べる。  

 地域には様々な人材や機関が存在するが、その全てではなく、児童生徒の障害や進学や生活や就業等と関わりの深い人材や機関と連携することが最優先である。そのためには、個別の教育支援計画の作成と引継ぎを良い機会として、地域を児童生徒の健康や生活や学業や就業を支えるセーフティネットとすることが現実的である。もちろん、ボランティアを地域から広く募集する等、学校を地域に開かれたものにし、より多くの様々な人材を学校に関与させる努力も同時に行うべきである。

 最後に、現代社会の課題について述べる。近年の少子化現象にも関わらず、特別支援教育の対象者数は増加傾向にある。また、約26万人にも及ぶ長期欠席者(2012年現在)には少なからずの病弱教育対象者が含まれていると推測される。このような特別なニーズのある児童生徒の教育を受ける権利を保障することが、現代社会の課題といえる。特別支援が行える教員の増員や、ICTの活用等により、早急な対応が求められている。

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。


今回のレポートで私は、院内学級に触れています。

院内学級と言えば、明星大学のスクーリングの授業で、院内学級担任の副島先生の存在を知ることができたのは、大きな収穫でした。

授業で視聴したのは、副島先生が登場する『プロフェッショナル仕事の流儀』のDVDでした。


副島先生は、下記のような「学校に対する批判的な眼差し」をお持ちです。

学校は比べることが先に来ている気がします。もちろん比べることで伸びることもあります。でも安全と安心の感覚がないままに、「できないとダメだ」「そうしないとここに居場所がなくなる」と思っている子たちに「比べる」ということをバンバン渡しているのが今の学校だと思います。

https://pajapan.jp/2018/06/30/soejimamasakazu/

さいかち学級に来て、ちゃんと目で笑えるようになりました。
 教師は目が笑わないんですよ。それは安全確保して、危険な状態をちゃんと察知しなければいけなかったり、子どもを評価しなければいけないので、「評価の目」なんです。ものすごい鋭い目で子どもたちを見ていると思います。それゆえに笑うときは口で笑うんですよ。でも目の奥は笑わないですね。
 本当に目が笑ってる先生はあんまりいないと思います。それがここに来ると子どもと関わるときにマスクをつけるので、口元だけ笑っても、子どもにはバレるんですよ。

https://pajapan.jp/2018/06/30/soejimamasakazu/

講演会に呼ばれて話をすると学校の先生が「病気でもこんなに頑張ってる子がいるだから、お前ら幸せだ、頑張れよ」と言うんですよ。そんなことの話をしに来ていないんです。自分だって今日は5割の力しか発揮できないこともあるだろうし、全然ダメだなと思う自分と出会うときもあります。でもみんなで一緒に生きていくような世の中を作りたいです。

https://pajapan.jp/2018/06/30/soejimamasakazu/


本気で副島先生は、学級を子どもたちにとって安全で安心な場所にしようとしています。

本気で副島先生は、児童生徒に寄り添います。

口で言うのは容易いですが、これらを実現させることは、とても難しいことです。