PL3040_病弱者の指導法_1単位目

課題
1.病弱教育の意義について述べよ。
2.病弱児に係わる指導上の配慮事項について述べよ。



1.病弱教育の意義について

 病気やそれに伴う入院により、生活の変化を余儀なくされた子どもは「前に通っていた学校から取り残されるのではないか」という不安を抱えるものである。病弱教育の意義は、「病院にある学校(学級)」や「特別支援学校(病弱)」や「教員による病院訪問」等の手段により、このような子どもの学校生活を維持し、その不安を軽減できる点にある。

 病弱の児童生徒を指導する教師には、病気やそれに伴う入院により、学習空白が生じてしまった子どもに対して、「どのようなことが原因で、学習について行けなくなったのかを把握し、それに応じた指導をする」姿勢や、「子どもの家庭のニーズ」を汲み取りつつ、「前籍校と連携をして子どものクラスでの存在や人間関係が途切れないように支援する」という姿勢が必須である。また、教師が子どもの心を読み解くには、子どもの「行為の背景を読み解く力」が必要であるため、「「なぜ?」「どうして?」という多くの視点をもつこと」も重要である。もちろん、「病気に関する断片的な知識ではなく、病気に関する様々な情報の中から指導に必要な病気の情報について整理できる力と、病気の状態に応じて弾力的に対応できる技術」が教師に備わっていることは前提である。

 病弱教育には意義があるが、現在、様々な課題が山積している。例えば、医学の進歩により、病気の的確な診断と、病気の適切な治療が行えるようになったことで、子どもの入院期間の短期化による「病院にある学校(学級)に転校しない子の増加」や、これを受けての「病院にある学校(学級)の縮小・廃止」の問題がある。また、心の病気の増加や、医学の進歩による病気の種類の増加も、病弱教育に従事する教師が考慮すべき事項である。また、病弱教育の制度を知らないが故に、病気の子どもやその保護者が悩んでいるという事実もある。また、子どもや保護者の中には、子どもの入院直後に、「病院にある学校(学級)」への転校の話を聞くことができたにも関わらず、「どうして特別支援学校(特別支援学級)に転校しなくてはいけないのか」という疑問を持つ方々も少なくない。

 上記の問題を解決するためには、病弱教育に従事する教師一人一人の知識や技能の向上だけでなく、病弱教育の意義と、病弱教育の存在自体の周知の徹底が必要不可欠である。「病気の子どもが必要とする教育を受ける場と機会を確保」できるという病弱教育の意義を広く知らしめるとともに、病弱教育の存在をアピールし、この制度の維持・充実に向けて工夫していくことが強く求められているといえる。

2.病弱児に係わる指導上の配慮事項について

 病弱特別支援学級の担任が、病弱の児童生徒を指導する際には、特別支援学校小学部・中学部の学習指導要領を参考にし、教育課程を編成することができる。この際に配慮すべき事項は5つに大別できる。以下より、これらの詳細を述べる。

 まず1つ目は「指導内容の精選等」である。これは「児童の授業時数の制約や病気の状態等に応じて、指導内容を適切に精選し、基礎的・基本的な事項に重点を置くとともに、各教科等相互の関連を図ったり、指導内容の連続性に配慮した工夫を行なったりして、効果的な学習活動が展開できるようにすること」である。

 2つ目は「自立活動の時間における指導との関連」である。これは「健康状態の改善等に関する内容の指導に当たっては、特に自立活動における指導との密接な関連を保ち、学習効果を一層高めるようにすること」である。

 3つ目は「体験的な活動における指導方法の工夫」である。これは「体験的な活動を伴う内容の指導に当たっては、児童の病気の状態や学習環境に応じて指導内容を工夫し、効果的な学習活動が展開できるようにすること」である。具体例として、寝たきり状態の児童生徒に対して、理科の実験や社会科の観察・調査等の体験学習を、サイエンス番組やドキュメンタリー番組の視聴で代替し、体験学習とほぼ同様の学習効果を得られるようにすることが考えられる。

 4つ目は「教材・教具や補助用具、コンピュータ等の活用」である。これは「児童の身体活動の制限の状態等に応じて、教材・教具や補助用具などを工夫するとともに、コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し、指導の効果を高めるようにすること」である。例えば、病棟や病室から出られない児童生徒のために、テレビ会議システムを用いて、他の児童生徒との活動や協働を行うことが挙げられる。

 5つ目は「負担過重とならない学習活動」である。これは「児童の病気等を考慮し、学習活動が負担過重とならないようにすること」である。具体例として、腎臓や心臓の疾患を持つ児童生徒のために、活動量や活動時間や休憩の取り方を適切に定めることが挙げられる。

参考・引用文献

全国特別支援学校病弱教育校長会編 『特別支援学校の学習指導要領を踏まえた「病気の子どものガイドブック」─病弱教育における指導の進め方─』 ジアース教育新社、2015年、p.8‐92

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