PL3040_病弱者の指導法_2単位目

課題
1.病弱教育に係わる個別の教育支援計画の作成について述べよ。
2.病弱教育に係わるセンター的機能について述べよ。



1.病弱教育に係わる個別の教育支援計画の作成

 個別の教育支援計画とは、「児童生徒一人一人の支援についての計画」であり、保護者を交えて、関係機関が連携・協議しながら、長期的な視点で作成するものである。小学校学習指導要領第1章総則第4の2(7)では、「障害のある児童などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより、個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと」と記されている。このことから、個別の教育支援計画とはすなわち、病気や障害のある幼児児童生徒を、幼児期から学校卒業後まで長期的に一貫して支援するために、幼児児童生徒の病気や障害や家族構成や地域での生活の詳細だけでなく、幼児児童生徒が所属する教育機関や、掛かり付けの医療機関や、関係のある福祉機関などの諸機関の情報も網羅された文書といえる。   

 このような個別の教育支援計画は、幼児児童生徒の病気や障害が様々であるために、それぞれの病気や障害に基づいたニーズに合ったものが必要である。

 例えば、「慢性疾患が固定しており、生活規制を続けながらも、学校生活や卒業後の職業生活を営むことができる」人と、「筋ジストロフィー等の進行性の疾患のため年々症状が進み、身体障害者手帳を所持し、デイケアや入所、入院を利用して生活している」人とでは、個別の教育支援計画の内容は自ずと異なってくるはずである。前者の場合、学校や職場で体調が悪くなった場合に、周囲が適切に支援できるように、掛かり付けの医療機関の情報の記載が必須である。また、病状の悪化により働くことができなくなった場合に備えて、生活保護の申請を支援してくれる福祉関係の組織に関する情報を記した個別の教育支援計画を作成することが望ましいであろう。一方、後者の場合、障害基礎年金が受給でき、生活のほとんどが施設で営まれるのであれば、前者の場合に記した生活保護申請に関連した福祉機関の情報は省いても差し支えないと考えられる。

 以上が、病弱教育に係わる個別の教育支援計画の作成の詳細である。個別の教育支援計画は、「病気や障害のある幼児児童生徒を地域社会に生きる個人として社会全体が支援していく」という考え方を背景に、長期的な視点に基づいて作成されるものといえる。

2.病弱教育に係わるセンター的機能

 以下より、地域における特別支援学校のセンター的機能の詳細を述べる。

 特別支援学校には「地域における特別支援教育に関するセンターとしての役割」があることが、平成19年に施行された改正学校教育法の第74条にて規定されている。センターとしての役割については、平成17年の中教審答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」において、次の6つの機能が示されている。①小・中学校等の教員への支援機能、②特別支援教育等に関する相談・情報提供機能、③障害のある幼児児童生徒への指導・支援機能、④福祉、医療、労働などの関係機関等との連絡・調整機能、⑤小・中学校等の教員に対する研修協力機能、⑥障害のある幼児児童生徒への施設設備等の提供機能。

 上記6つの機能に加えて、特別支援学校が中心となり、障害のある子どもに関する地域のネットワークを構築することも、センター的機能の1つといえる。また、「病院にある学校(学級)の教師が、前籍校に児童生徒が戻る場合に、前籍校の教師に児童生徒の病気についての理解を得るように求めること」もセンター的機能の1つである。この際には、『病気の子どもの理解のために』のような支援冊子が有用である。さらに、小・中学校等からの要請により、特別支援学校(病弱)の教師による「巡回による指導を行ったり、特別支援学校(病弱)の児童生徒と一緒に授業を受けさせたりすること」も、センター的機能の一環である。

 なお、上記のようなセンター的機能を特別支援学校が充実させるためには、「センター的機能を担当する教師を孤立させずに、教師同士が連携する」姿勢や、「校務分掌や校内組織の工夫による校内体制の整備等を行う」等の「学校が組織的に取り組む姿勢」が重要である。また、「他の障害種別の特別支援学校との連携」や、「小・中学校等の障害のある児童生徒への指導についての経験豊富な教師や先導的な取組を行っている小・中学校等との連携」や、「特別支援教育センター、児童相談所、病院との連携」等の「教育機関・福祉機関・医療機関との連携」も重要である。

 以上が、地域における特別支援学校のセンター的機能の詳細である。

参考・引用文献

全国特別支援学校病弱教育校長会編 『特別支援学校の学習指導要領を踏まえた「病気の子どものガイドブック」─病弱教育における指導の進め方─』 ジアース教育新社、2015年、p.43‐45、p.54‐56

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