PL2050_特別支援学校教育課程論_1単位目

課題
1.特別支援学校新学習指導要領の基本的な考え方と主な改善事項について述べよ。
2.特別支援学校新学習指導要領における自立活動の定義と領域内容について概説せよ。



1.特別支援学校新学習指導要領の基本的な考え方と主な改善事項について、以下に概説する。

 はじめに、特別支援学校新学習指導要領の基本的な考え方についてであるが、これは、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の改善に準じたものとなる。つまり、①生きる力の育成、②知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスの重視、③道徳教育や体育の充実による豊かな心や健やかな体の育成、の3つの基本方針に基づくものとなる。①の生きる力は、変化の激しい知識基盤社会に対応する力であり、この力の育成が、幼児児童生徒の発達段階への考慮と、確かな学力と豊かな心と健やかな体の調和を重視しながら、引き続き目標とされる。②は、「観察・実験やレポートの作成」「論述等の知識・技能の活用を図る学習活動の充実」「教科の枠を超えた横断的・総合的な課題を、各教科で習得した知識・技能を用いて、総合的な学習の時間を中心として解決する探求活動の充実」「言語活動の充実」「主体的な学習態度の育成」「家庭と連携しての学習習慣の確立」により達成される。③は、道徳の時間を要とし、「発達段階に応じた指導内容の重点化や体験活動の推進」「道徳教育推進教師を中心とした道徳教育の展開」「児童生徒が感動を覚える教材の開発と活用」「体育での生涯スポーツを意識した体力向上の指導や心身の健康保持促進に関する指導の充実」「学校での食育の推進」により達成される。

 次に、特別支援学校新学習指導要領の主な改善事項についてであるが、これらは、①障害の重度・重複化、多様化への対応、②一人一人に応じた指導の充実、③自立と社会参加に向けた職業教育の充実、④交流及び共同学習の推進、の4つから成る。①については、「他者とのかかわりの基礎に関すること」の自立活動への規定、指導計画作成の手順の明確化、教師間の協力した指導や外部の専門家の活用等による学習効果の向上の規定がなされている。②については、各教科等に関して作成される個別の指導計画と、学校、医療、福祉、労働等の関係機関の連携と、一人一人のニーズに応じた支援を意図した個別の教育支援計画の作成が全ての幼児児童生徒について義務付けられている。③については、高等部に専門教科として「福祉」が新設され、地域や産業界等との連携、職業教育と進路指導の充実が盛り込まれている。④については、障害のある子どもと障害のない子どもとの交流及び共同学習の計画的・組織的な実施が規定されている。

 以上が、特別支援学校新学習指導要領の基本的な考え方と主な改善事項の概要である。

2.特別支援学校新学習指導要領における自立活動の定義と領域内容について、以下に概説する。

 自立活動とは、特別支援学校の教育課程で特別に設けられた指導領域であり、個々の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導を指す。自立活動のねらいは、障害のある幼児児童生徒の自立の達成である。すなわち、障害の状態や発達の段階等に応じ、主体的に自己の力を可能な限り発揮し、よりよく生きていこうとすることの達成をねらいとする。そのため、自立活動の指導は、個々の幼児児童生徒の実態を把握した上で、指導の目標や内容を個別に定めた「個別の指導計画」を作成し、これに基づいて行われる。

 自立活動の領域内容は、下記の6区分26項目から構成される。①健康の保持(生活のリズムや生活習慣の形成、病気の状態の理解と生活管理、身体各部の状態の理解と養護、健康状態の維持・改善)、②心理的な安定(情緒の安定、状況の理解と変化への対応、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲)、③人間関係の形成(他者とのかかわりの基礎、他者の意図や感情の理解、自己の理解と行動の調整、集団への参加の基礎)、④環境の把握(保有する感覚の活用、感覚や認知の特性への対応、感覚の補助及び代行手段の活用、感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握、認知や行動の手掛かりとなる概念の形成)、⑤身体の動き(姿勢と運動・動作の基本的技能、姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用、日常生活に必要な基本動作、身体の移動能力、作業に必要な動作と円滑な遂行)、⑥コミュニケーション(コミュニケーションの基礎的能力、言語の受容と表出、言語の形成と活用、コミュニケーション手段の選択と活用、状況に応じたコミュニケーション)。

 上記の6区分26項目から、個々の幼児児童生徒の実態に合った項目を選定し、これらを相互に関連付けて、自立活動の指導が行われる。例えば、上肢にまひのある幼児が「玩具に手を伸ばす」という指導目標を達成するには、玩具までの距離と方向を視覚で把握し、上肢を適切に操作する必要がある。このような場合、上記の6区分26項目から、④環境の把握の区分における項目と、⑤身体の動きの区分における項目を組み合わせて、具体的な指導内容が設定されることになる。

参考・引用文献

文部科学省編 『特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編(幼稚部・小学部・中学部・高等部)』 海文堂出版、2016年

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。

学習指導要領が改訂されたので、自立活動の区分の内容が、古くなっていますね。

6区分26項目ではなく、2020年4月現在の学習指導要領では、自立活動の区分は、6区分27項目ですね。