PB2130_初等算数科教育法_2単位目



1.図形領域の目標は、①平面図形と立体図形の意味や性質の理解、②図形についての感覚を豊かにすること、③図形の性質を見出したり説明したりする過程での数学的に考える力や表現する力の育成、の3つである。

 図形領域の指導内容と系統についてであるが、第1学年から、ものの形や形の特徴の把握指導が開始される。これは図形についての理解の基礎となる。次に、図形の構成要素に着目させて、第2学年では三角形や四角形等の理解を、第3学年では二等辺三角形や正三角形の理解が図られる。さらに、図形の構成要素の位置関係に着目させて、第4学年では、平行四辺形やひし形等の平面図形と直方体等の立体図形の学習が行われる。第5学年では、図形の性質の把握と、それに依拠しての図形の調査や構成を通して、平面図形の理解を深めさせるとともに、角柱等の立体図形を理解させる。第6学年では、縮図や拡大図や対称な図形を学習し、図形の理解を深めさせる。

 図形領域の今日的課題は、定式化された解法への固執に基づいた、多様で柔軟な思考の抑制である。つまり、既習の解法でしか問題を解くことができないということである。これは、現実世界の様々な新規の問題に数学を活用する能力である「数学リテラシー」の育成に課題がある状況といえる。これを解決するには、手を動かすという原始的な方法を用いることで、自分にとって未知の事柄の全容を把握しようとする地道で実証的な態度の育成が不可欠である。

 例えば、第5学年の指導内容に、直径と円周の関係(円周率)がある。授業では、円周率は3.14であり、直径の約3.14倍が円周の長さとなることが説明される。しかし、教科書の読解や教師の解説だけでは理解が不十分な児童や、単に上記事柄を丸暗記する児童が多数生じることが予想される。そのため、手を動かして実際に円周を測り、それを直径で割る作業を、教師は児童に行わせるべきである。具体的には、直径の把握できている円をコンパスで厚紙に描かせ、その円を鋏で切り取らせて定規の上で1回転させることにより円周を計測し、これを直径で割る作業を行わせる。この作業により、児童は実感を伴って円周率を理解できるようになると同時に、未知の事柄の実際を、手を動かして地道に把握しようとすることの価値を知ることができるであろう。

 以上のような、地道で実証的な態度を児童に育むことにより、現実世界の問題を数学的問題へ定式化し、得られた数学的解答を現実世界上で解釈する力や、現実世界の様々な新規の問題に数学を活用する能力である「数学リテラシー」を、高めることができると考えられる。

2.数量関係領域の目標は、①「数と計算」「量と測定」「図形」の各領域の理解時や、これらの内容の活用時に必要となる数学的な考え方や方法を身に付けること、②数量や図形について調べたり、これらを表現したりする方法を身に付けること、の2つである。

 数量関係領域の指導内容と系統についてであるが、低学年から、「関数の考え」「式の表現と読み」「資料の整理と読み」について螺旋状に指導が行われる。第1~3学年では、ものとものとの対応付け、他の数の和・差・積として1つの数を捉えること、乗数が1ずつ増減した際の積の変化、四則演算、加法と減法の相互関係、数量の関係を表す式と図の関係付け、絵・図の読み方、一次元の表やグラフ、二次元の表や棒グラフが指導される。第4学年では、関数的な関係を表す表や折れ線グラフ、2つの数量の変化の特徴、四則の混合した式や()を用いた式、一般的な数量関係を表す公式、交換法則、結合法則、分配法則、二次元の表や折れ線グラフが指導される。第5~6学年では、比例関係、簡単な整数の組を用いた比、反比例関係、整数、小数、分数、□等の記号やa等の文字を用いた式、割合を表現した円グラフや棒グラフや帯グラフ、度数分布表や柱状グラフ、起こり得る場合の整理と調査が指導される。

 数量関係領域の今日的課題は、①四則の混合した式や()を用いた式、②割合の意味と2つの数量の関係、③二次元の表と、円グラフや帯グラフとの関連付け、④反比例、の4つである。これらのうち、④についての数学的な考え方を伸ばすための教材を以下に挙げる。

 「タクシーで映画館まで6000円かかります。Aさんが交通費に使えるお小遣いは1000円です。Aさんは何人の友達を映画に誘ってタクシーを相乗りすれば映画を楽しめますか」という問題を課す。映画に行く人の数が1人、2人と増えるに従い、一人分の交通費は6000円、3000円と減っていく。この2つの数量の変化を表に記すことで、映画に行く人の数と一人分の交通費は反比例の関係にあることが判明する。最終的に、映画に行く人の数が6人の場合に、一人分の交通費が1000円となる。従って、5人の友達をAさんが誘うことが答えとなる。

 このような、現実世界の問題を数学的問題に変換し、表に2つの数量の変化を表してこれらの関係を考察する教材を用いることにより、関数的な考え方という数学的な考え方が身に付くと考えられる。

参考・引用文献

齋藤昇他著 『子どもの学力を高める新しい算数科教育法』 東洋館出版、2016年、p.45‐66、p.81‐91

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

1単位目と同じように、指定の教科書の内容に基づいて、自分なりの授業の展開方法を、具体的に書くと良いです。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。

既にお気付きのことと思いますが、アイキャッチ画像のレポート画像では、不合格に〇が付いています。

1回目に提出したレポートは、不合格でした。

なぜか。

講評に書かれている通りです。

1.「円の面積」は「量と測定」領域です。「図形」領域から事例を考えましょう。

課題文で「図形」領域について書くように指示されているにも関わらず、私は「円の面積」という「量と測定」領域の話材を、1回目のレポートに書いてしまったのでした。

「図形といえば円だろう!」という単純な連想をして、「円の面積」の求め方を一生懸命書いてしまい、不合格になってしまったのでした><。。

課題文が求める内容を、指定の教科書の内容に基づいて、レポートを書く。

言葉にすると簡単なことのように思えますが、結構できなかったりします。