PB2130_初等算数科教育法_1単位目



1.数と計算領域の目標は、整数、小数、分数の意味や表し方を理解し、数についての感覚を豊かにすることである。また、小数と分数の計算の意味を理解し、それらの計算の仕方を考え、計算に習熟し活用できるようになることや、算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付けるようになることも重要な目標である。

 数と計算領域の指導内容と系統についてであるが、計算の意味とその仕方を理解・活用できるようになることを目指し、「数」と「計算」それぞれについて、次の指導が行われる。数に関しては、整数の導入により、第1学年から、数の概念、大小関係の概念、集合数と順序数の学習が開始される。計算に関しては、数の合成・分解に基づいた加法と減法の導入により、第1学年から、2つの数量の合併・増加・求差・求残の学習が開始される。また、小数や分数の計算について、その手続きと、線分図や数直線を用いたイメージ化の学習も開始される。

 数と計算領域の今日的課題は、①色の異なるテープの長さを比べる場面において、図と関連付けて、示された割合を基に基準量と比較量の関係を理解し、1に当たる大きさを求めるために除法が用いられることを理解すること、②買い物場面におけるおつりについて、2通りの計算の仕方を解釈し、一方の処理の方が合理的である理由を言葉と数を用いて記述すること、の2つである。

 上記の課題①に関して、算数的活動の教材を提案するのであれば、以下のようなものが挙げられる。

 「長さ60cmの白テープと、長さ不明の青テープがあり、白テープの長さは青テープの長さの0.2倍にあたる。青テープの長さは何cmか」という教材を児童に課す。まず、長さ60cmの白テープと、長さ不明の青テープを児童に図示させ、白テープの横に「青テープの0.2倍」と記させる。これにより、明らかになっているものと、明らかにするべきものの区別を児童に促す。すなわち、青テープの長さが基準値、白テープの長さが比較量にあたり、我々が明らかにするべきものは青テープの長さであることを、児童に把握させる。次に、青テープの長さを0.2倍したら60cmになることを、青テープの長さを□で表すことによって、児童に式で表現させる。□×0.2=60の式を児童が表現できたならば、60を0.2で除することで□の値が算出できることを児童に示唆する。そして最終的に、60÷0.2=300の除法の式から、青テープの長さを算出させる。

 上記のような、身体を使って具体物を操作する算数的活動により、課題①の達成だけでなく、小数と分数の計算の仕方の理解と、数理的な処理のよさの気付きと、数についての感覚の育成が、可能になると考えられる。

2.量と測定領域の目標は、身の回りにある様々な量の単位と測定について理解し、実際に測定できるようになり、量の大きさについての感覚を豊かにすることである。

 量と測定領域の指導内容と系統についてであるが、量の意味やその測定方法の理解を目指し、学校や家庭にあるものの長さと面積と体積に関して、直接比較→間接比較→任意単位による測定が第1学年から行われる。時刻についても第1学年から指導が開始される。第3学年までに、長さと時刻(時間)と重さについて、第6学年までに、面積と体積について学ぶ。第4学年で角の大きさ、第5学年で測定値の平均値と単位量当たりの大きさ、第6学年で速さとメートル法の学習が終了する。

 量と測定領域の今日的課題は、①単位換算、②異種の2量の商によって表現されるもの、③量の加法性、④立体の体積の求め方、についての理解の4つである。

 上記課題の解決には、児童一人ひとりの個性を生かした個に応じた指導が不可欠である。これは個別指導のみを意味しない。目標を全員で共有し、互いに助け合いつつ学習成果を高める協同学習や、習熟度ごとの少人数集団で学習を進める習熟度別指導をも含むものである。

 例えば、「面積8㎡で16人いるA部屋と、面積5㎡で9人いるB部屋とでは、どちらが混み合っていますか」という教材を用いる場合、個に応じた指導は、以下のように進めることができる。

 協同学習を行うならば、児童を3~6人の集団に分け、書記や発表者等の役割分担をさせつつ、教師はA部屋とB部屋の状態を黒板に図示すると良い。その上で、両者の混み具合を比較する方法の考案を目標として共有させ、討議・発表させる。その際、全ての意見を教師は、臨機応変に分かりやすく吟味・整理し、「答えを導くには、1㎡当たりの人数を知る必要があること」に児童が気付くように、統合してみせる必要がある。

 一方、習熟度別指導を行う場合には、習熟度別に編成した各集団にふさわしい目標と指導方法を設定する。「1㎡当たりの人数を知ること」という気付きに至るまでの段階的な目標、教科書の例題への取り組み、学習内容の構造分析・表現等、教師は各集団に適した目標や指導方法を見極めて提示し、授業を展開していく。

 上記が個に応じた指導の概要である。これにより、身の回りにある様々な量の単位と測定の理解と、量の大きさについての感覚の育成が可能になると考えられる。

参考・引用文献

齋藤昇他著 『子どもの学力を高める新しい算数科教育法』 東洋館出版、2016年、p.21‐43、p.105‐110

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

「教材を1つ考案しなさい」「具体的な教材を挙げて説明しなさい」の箇所に、独創性が求められているとも読めますが、ゼロから文章を創造する必要はないです。

指定の教科書の内容に基づいて、自分なりの授業の展開方法を、具体的に書くとOKです。

これも、一種の要約ですね。

要約型レポートの書き方については、下記が参考になります。