PB1030_生活科_1単位目
課題
1.生活科の意義について、生活科新設の背景への言及もまじえて検討せよ。
2.生活科の学年目標の特色を述べよ。
1.生活科の新設は、低学年児童の発達特性(思考と活動、思考と感情の未分化)が、言葉による抽象的な思考を中心とした指導方法となじまないという指摘を受けて、具体的な活動や体験を通しての指導が求められたことに端を発する。また、従来の社会科や理科の学習指導が表面的な知識の伝達に陥る危険性があることや、幼稚園と小学校低学年での教育内容の構成の仕方や指導方法に大きな差異があること等の指摘も、生活科新設の流れを形成するものであった。このような背景のもとで新設された生活科の意義は、以下の6つに大別できる。
①喜びと楽しみのある意欲的な学習や生活の実現
生活科の目標は、生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ、自立への基礎を養うことである。この目標の達成には、学校内外の様々な場所での活動や体験が必須であるが、生活科は実際にこれらを実現させる。
②幼児教育と小学校教育との接続の実現
以前から、幼稚園と小学校低学年での教育内容の構成の仕方や指導方法に大きな差異があるという問題点が指摘されていたが、生活科はこれを解決する。生活科は遊びを中心とした総合的な指導を行う幼稚園教育を、具体的な活動や体験を通して、小学校教育と円滑に接続する。
③生活による知識等の総合化の実現
低学年における合科的・関連的な指導の重要性も従来から指摘されていたが、生活科は「生活者」の視点を取り入れることにより、「子どもが自己の問題解決のために諸対象に働きかけ、それらを問題解決の手段として一体的、総合的に取り込んでいく」ことを可能にする点で、上記指摘に十分に応えるものとなっている。
④生活自立者の育成の実現
生活科では、知識・技術等は児童の生活の手段として位置付けられる。このような経験主義的な教育を実践できる点に、生活科の意義がある。また、生活科が持つ上記の特徴は、科学的な知識・技術の体系の存在を前提にした教科概念への問題提起ともなっている。
⑤総合的な学習の時間との連続性の構築
生活科の趣旨やねらいを踏まえた学習を、小学校低学年だけでなく、中・高学年、中学校、高等学校においても行うために、「総合的な学習の時間」が導入されている。この動きは、生活科に価値があることの証左である。
⑥教員養成科目への生活科の導入
大学においても、生活科の考え方や全般的な特質が取り扱われている。学習を行う児童の生活を重視し、この生活に関係する限りで、知識や技術は初めて価値を持つという考え方は、表面的な知識の伝達に陥りがちな教育から、全ての学習者を解放する意義深いものといえる。
2.低学年の児童の実態と生活環境に即した指導を可能にするために、生活科の学年目標は、第一学年と第二学年で共通したものとなっている。この内容の特色を、学習指導要領に提示されている4つの目標を概観しつつ、以下より詳述する。
目標の一つは、「自分と身近な人々及び地域の様々な場所、公共物などとのかかわりに関心をもち、地域のよさに気付き、愛着をもつことができるようにするとともに、集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え、安全で適切な行動ができるようにする」というものである。ここでは、学校や駅や商店等の人々との交流を通して地域のよさに気付いた児童が、地域に愛着を持ち、自らの役割や行動の仕方を考えて、適切に安全に社会生活を送ることが目指されている。
目標の二つは、「自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりを深めることを通して、自分のよさや可能性に気付き、自然を大切にしたり、自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができる」というものである。ここでは、冷たい北風に冬の厳しさを感じることや、学校周囲の並木の新芽や道端の草花に春の気配を感じることや、蟻や蝶に生命の営みの不思議さを感じることや、土や砂等の感触を味わうことを通して、児童が自然への関心を深め、その素晴らしさに気付き、自然を大切にするようになることが目指されている。また、身近に自生する竹から水鉄砲を作って遊んだり、学校農園で栽培した草花を教室に飾ったりすることで、児童が自然を創造的に利用するようになることも目指されている。
目標の三つは、「身近な人々、社会及び自然とのかかわりを深めることを通して、自分のよさや可能性に気付き、意欲と自信をもって生活することができるようにする」というものである。ここでは、目標の一つと二つを通して、児童が自分を認めてくれる他者の存在に気付くことによって、自分のよさと可能性を知り、日々の生活を自信をもって意欲的に生きるようになることが目指されている。
目標の四つは、「身近な人々、社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに、それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて、言葉、絵、動作、劇化などの方法により表現し、考えることができるようにする」というものである。ここでは、道具の使用や野菜の栽培や人と話すことや小動物と接することを直接的に行うことで、児童が物事を実感とともに理解し、これらの活動での一場面ごとに生じる気付きを深め、言葉や絵や動作や劇化等の方法で表現し思考するようになることが目指されている。
捕捉
このレポートは要約型レポートです。
課題1に関して、「背景への言及がほとんどありません」という指摘を受け、課題1のみ不合格になりました。
不合格レポートの講評は以下の通りです。
1について、背景への言及がほとんどありません。背景となる会議体と答申等の名称を明示して時系列で整理した上で再提出して下さい。
by 廣嶋
要約型レポートの書き方については、下記が参考になるのですが、課題で求められていることを把握して書かないと、不合格になってしまいますので、要注意です><。。