PB1030_生活科_2単位目

課題
1.生活科の学習指導について工夫したい方法、留意すべき事項を自分の視点でまとめよ。
2.生活科と「総合的な学習の時間」の関連について述べよ。



1.生活科では、教師が一方的に教えて子どもがそれを覚えるという「教師主導・結果重視の指導」ではなく、一人一人の子どもが自主的・意欲的に学び、活動することを援助・支援するという「子ども主導・過程重視」の指導が目指されている。ここでの「子ども主導や過程重視」とは、教師が子どもを放任したり、何もせずに子どもの活動を見守ったりすることではない。子どもが活動や体験から何かを学ぶことができるように、様々な方法で手を尽くすことが教師の仕事である。では、具体的に教師は、生活科においてどのような点に注意して指導を行えばよいのであろうか。

 生活科においては、問題解決学習が展開される。問題解決学習とは、問題的場面(人的・物的環境との出会いにより疑問・欲求・願いをもつ)、問題の形成(疑問・欲求・願いを整理して、解決すべき問題を決める)、仮説の形成(問題解決の方法を考える)、行動による仮説の検証(解決策に沿って問題解決のための活動に取り組む)、問題の解決(問題解決の過程を振り返り、まとめ・表現をし、次の活動の意欲を高める)という5段階を踏むことにより実践されるものである。これは、子どもが身近な事物を観察して問いを立てて、その答えを推理し、実際に答えの正しさを観察により確かめるという営みである。この営みを支援するにあたり、教師が留意するべきことは次の3点である。

 第一に教師は、推理と観察の違いを意識した明確な指示や質問を行う必要がある。例えば、「これは何か?」という質問は観察を要求し、「このことからどんなことが想像できるか?」という質問は推理を要求する。この違いを無視して教師が質問を自由に行うと、状況や場面にそぐわない思考を子どもに強いてしまうことになる。 

 第二に教師は、推理を子どもに行わせる際には、必ず観察を経た後でそうするべきである。例えば、池の観察を行う前に、「池でどのような生き物を採りたいですか?」という質問をしてはならない。なぜなら、考える足場となる肝心の池の観察を抜きにしては、その後の推理は無責任で非現実的な内容のものにしかならず、子どもが何もそこから学べないからである。

 第三に教師は、子どもの特性に合わせて、時間の配分を行う必要がある。思考に時間がかかる子どもがいるならば、その子どもが問題解決を行うために必要な時間を確保しなければならない。時間がかかりすぎるからという理由で、教師が問いを子どもに押しつけることがあってはならない。子どもにとっての世界における問いが子どもにとって重要なのであり、その答えを出す作業の支援に教師は徹するべきである。

2.生活科と「総合的な学習の時間」の関連について、以下より詳述する。

 生活科は、小学校低学年(第1学年、第2学年)を対象に、平成元年に新設された教科である。一方、「総合的な学習の時間」は、小学校第3学年から高等学校までを対象に、平成10年に新設されたものである。異なる時期に新設された、これらの関連についてであるが、結論から言うならば、「総合的な学習の時間」は、生活科のねらいを踏まえて、その発展形として誕生したものといえる。いわゆる「教科」が、理論の探求や知識の創出を目指し、「問題解決の資質や能力、学び方やものの考え方、主体的・創造的な探究の態度を育成すること」をねらいとするのに対して、生活科と「総合的な学習の時間」は、「子どもが自己の生き方(=生活)を考え、より望ましい生き方を実践できるようになること」を目指し、「そのために必要な問題解決の資質や能力、学び方やものの考え方、主体的・創造的な探究の態度を育成すること」をねらいとする。そのため、これらの指導内容は、「教科」のそれと異なり定められておらず、各学校が地域や児童生徒の特色に応じて設定できるものとなっている。

 では、何故「総合的な学習の時間」は、生活科の発展形として小学校中学年以降をも対象にして新設されたのだろうか。その答えは、「総合的な学習の時間」の新設が提言された教育職員養成審議会による第一次答申から伺い知ることができる。答申では、「教員を志望する者自身が人間尊重、地球環境、異文化理解等の人類共通のテーマや、少子・高齢社会と福祉等わが国社会全体にかかわるテーマ等に関する理解を深め視野を広げること」が指摘されているが、ここで言及されている問題群は現代に生きる我々が解決しなければならない問題群である。すなわち、上記答申の記述から理解できることは、生活科と「総合的な学習の時間」のねらいである「生き方(=生活)を考え、より望ましい生き方を実践できるようになること」は、小学校低学年だけでなく、いわゆる「大人」も含めて、全ての人が共有すべきねらいであるということである。

 「現実の生活」を「より望ましい生活」に変えることは、年齢や世代とは関係なく、全ての人にとって普遍的な課題である。上記答申から読み取れることは、自己の生き方を充実させるために、全ての人が、自立に必要な問題解決能力を習得するべきであるという考えであり、これが、「総合的な学習の時間」が、生活科の発展形として小学校中学年以降をも対象として新設された理由であると考えられる。

捕捉

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噂では、生活科関係のレポートは合格するのが難しいと聞いておりました。

しかし、提出1回目は不合格になってしまったものの、提出2回目では合格できたので、「それほど難しいわけではなかった。良かった良かった」という感じです。