PB3030_初等音楽科教育法_2単位目


 

 小学校第二学年の児童生徒に『春がきた』を指導する仕方を、学習指導案の形式に従って、以下より記述する。

1.題材名:情景を豊かに思い浮かべ、高音を出して『春がきた』を歌う

2.題材設定の趣旨:『春がきた』の歌唱時には高音域の声を出しつつ、柔らかく豊かに歌う必要がある。そのためには、共鳴を利用する必要があるが、共鳴は第三学年での課題であり、第二学年の児童生徒にとっては難度の高いものと考えられる。従って今回は、共鳴の話題に触れつつも、高音域の声を出すことのみの達成を目指す。

3.児童の実態:第二学年の児童生徒にとって、『春がきた』にて高音域の声を出すことは、歌唱に関する初めての試練となると考えられる。個々の児童生徒の特性を考慮し、自信を喪失させないように適切な助言を心掛ける。

4.題材の目標:

①歌詞で描写された情景を豊かに思い浮かべながら、のびのびと歌える。

②『春がきた』を素材に高音域の声を出せるようになる。

③②の達成を、第三学年で課題となっている共鳴の達成への動機付けにする。高音域の声を出すことと、共鳴の二つの技術により、『春がきた』の歌唱を完成させることができることを意識するようになる。

5.教材と教材選択の観点:

鑑賞用のCDとして、『小学校 特別支援学級 指導用音楽CD』日本コロムビア株式会社、2011年、Disc1季節の歌(春)に収録されている「はるがきた」を用いる。

6.評価規準:

①『春がきた』の歌詞に興味を示し、それが表す情景を理解している(「音楽への関心・意欲・態度」についての視点)。

②CDで『春がきた』を鑑賞する際に、興味関心を持って聴いている。特に2回目の鑑賞時に、高音域の箇所に注意を払って聴いている(「鑑賞の能力」についての視点)。

③『春がきた』の歌唱時に高音域の声を出す(「表現の技能」についての視点)。

④『春がきた』をより良く歌うために熱心に取り組んでいる(「音楽的な感受や表現の工夫」についての視点)。

7.題材の学習指導計画:本題材は15分扱いとする。

第1次 約4分

 『春がきた』をCDで鑑賞してもらい、その後で全ての歌詞を教員が読み上げながら、歌詞の内容の説明を行う。説明の具体的な内容は以下の通りである。

①一番の歌詞:『春がきた』という楽曲名の通りに、春の到来が「山」と「里」と「野」において告げられている。

②二番の歌詞:「花」が上記三つの場所で咲いたという、春の到来を示す現象が描写されている。

③三番の歌詞:「鳥」が上記三つの場所で鳴いたという、春の到来がもたらす現象が描写されている。

 以上のように、『春がきた』においては、「山」と「里」と「野」の三つの場所での、「花」と「鳥」の変化によって、春の到来が表現されていることを理解してもらう。

第2次 約3分

 教員の伴奏で児童生徒に『春がきた』を実際に歌ってもらう。歌い方に関する助言を教員が行う前に、この歌を歌うことの難しさを児童生徒に体感してもらうことが1回目の唱歌の目的である。

第3次 約3分

 1回目の唱歌の後で、歌う際の技術的な助言を、児童生徒に教員が伝える。具体的には、以下のような言葉を掛ける。

①「山にきた→里にきた→野にもきた」の流れにおける最後の箇所の「野にも」では、高いミ(二点ホ)とレ(二点ニ)の音を出す必要がある。話し声ではなく、高音域を出すことを意図して、弱くてもいいから高音を出してみよう。

②高音を出す際には、少し苦しい感じ、喉を詰めるような感じで歌うと良い。「お母さんが気どった感じで電話に出るときの声」や「鈴を振るような声」や「うぐいすの精の声」を意識してみよう。

③本来は、『春がきた』の歌唱時には共鳴という技術を使うことが望ましいが、共鳴は第三学年で学ぶので後回しにして、今回は、身体から・おなかの底から・心から、高音域の声を出してみよう。

上記のような助言を教員が児童生徒に行い、高音域の声で歌う練習をしばらく行う。

第4次 約5分 

 再度CDで『春がきた』を鑑賞する。その後、2回目の唱歌を児童生徒に行ってもらう。1回目の唱歌よりも、高音域の箇所が改善されていると考えられる。高音域の音を出すことができた児童生徒を称えるとともに、高音域の音を出せなかった児童生徒に対しては、コツコツと練習することでいつか達成できることを伝える。これにて、約15分間にわたる『春がきた』の指導を完了させる。

参考・引用文献

阪井恵・有本真紀 『初等音楽科教育法』 明星大学出版部、2012年、p.23‐25、p.32‐33、p.143‐149

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

1単位目と同様に、非常に書きやすいレポートです。

要約型レポートを書く練習台になるような、そんなレポートです。

課題では「春がきた」の指導法を問うています。

キーワードは「春がきた」であることは明白です。

しかし、「春がきた」という言葉は、目次にはありません。

指定の教科書には索引が付いていないので、索引で「春がきた」を探すこともできません。

こういう時こそ、教科書をとにかくパラパラめくって、「春がきた」という文字を探しましょう。

すると、23ページ、24ページ、32ページ、33ページに、「春がきた」に関する情報が見つかります。

これらを要約すればOKです。

要約の仕方についてですが、143ページ~149ページに指導案例が載っているので、これを私は真似しました。

こんな感じで指導案的な文章をギチギチとレポート用紙に詰めていくという書き方です

このレポートを書くには、目次や索引をあてにせずに、教科書にざっと目を通して、必要な情報だけをピックアップする必要があります。

この作業を行うことで、要約のコツが掴めると思います。