PB3040_初等図画工作科教育法_1単位目



1.第2章「図画工作科の目標と内容」の第1~2節の要約と「表現領域」及び「鑑賞領域」の関連性

 小学校図画工作科の授業で求められていることは、「造形・美術活動に「喜びを味わう」」という体験を通して、「特定の分野や特定の技法などにかたよらない基礎・基本となる美術活動の能力を子どもたちが身に付けていくこと」と「そのための内容や方法」を伝えることである。また、第八次学習指導要領の改訂では、「これからの社会の変化に主体的に対応して心豊かにたくましく生きることができる資質や能力の育成を図ることを基本的なねらい」として、「これまでの知識や技能を共通的に身に付けることを重視した教育から、子どもが自ら考え主体的に判断し行動できる資質や能力を育成することを重視する教育」への転換が図られた。従って、図画工作の学習を通して児童生徒が身に付けた能力も、学校卒業後に「意欲的に活用されることで広がり高まっていくもの」と位置付けられている。さらに、図画工作科では、「言語活動の充実」の観点から、「感じたことを言葉にして確かめたり、友人と話し合ったりして、見方や考え方を深めていくこと」も期待されている。

 図画工作科の内容についてであるが、学習指導要領において、それは「A表現」と「B鑑賞」に大別される。

 「A表現」は、「表現(1):造形遊び」と「表現(2):絵・立体・工作」に分けられる。前者は「材料やその形、色などに働きかけることから生まれる活動」であり、後者は、「自分の表したいことを基に、これを実現していこうとする活動」である。一方、「B鑑賞」は、児童生徒が彼等自身の感覚や体験等に基づいて、「身の回りの造形品や美術作品を見たり、それを話題にして友達と話し合ったりして鑑賞の能力を高める活動」である。

 これらの「A表現」と「B鑑賞」は「息を吸ったり吐いたりする呼吸と同じで、相互に補い合う活動」である。指導上の観点から区別されているものの、実際には両者は融合している。なぜなら、「表現をするためには常に自分の表し方を鑑賞し(確かめ)続けてそれをフィードバックし表現を修整している」ものだからである。具体例として、彫刻刀で作品を制作する児童生徒が挙げられる。彼等は「彫刻刀で彫るときのサクッとした感触を味わいながら自分のしたい表現を見つけ」ている。教員は、この「表現と鑑賞の表裏一体性」を意識しながら児童生徒を指導する必要がある。

2.第2章第3節の要約と、地域の特性を生かした「造形遊び」の題材の概要

 「造形遊び」とは、「「遊び」が持つ教育的な意義と創造的な性格に注目し、教育として位置付けたもの」であり、「無目的な無償の造形行為や造形活動そのものにねらいをおき、遊びそのものの過程で色や形、材料の変化に対する子どもの柔軟な造形性を思いのままに発揮させようとする」ことを目的とする。

 「造形遊び」は「子どもに任せっきりにする」ものという誤解がある。このような放任の結果、「子どもの造形活動が散漫になったり、不十分な状態で飽きてしまったりすることで、どの学年で行っても同じ様な活動に終始してしまう」ことが散見される。教員は、このような状態に陥らないように、児童生徒の「活動過程でわき起こる思いを受け止めて、実現する方向へと導き支えて」いかなければならない。確かに、造形遊びにおいては、身近な場所とそこにある材料を用いて、児童生徒が何を表現するのかについては、児童生徒に任せるべきである。しかし、教員は、材料の扱い方やどのような活動が楽しいのかについて絶えず児童生徒に問い掛けることにより、彼等の表現活動を支援する必要がある。また、教員は、学校内における「造形遊びに適した場所」を把握しておき、「造形遊び」の目的に合致した場所を選択できるように準備しておく必要もある。

 以上を踏まえ、私が現在住んでいる地域の特性を生かした「造形遊び」の題材の概要を、以下より記述する。

 対象学年を第一学年とし、図工室にて、行為・操作を主とした「物語に沿って並べて」という題材名の造形遊びを行う。「この時期の児童は、周りの人、物、環境などに体ごとかかわり全身で感じるなど、対象と一体になって活動する傾向がある」という児童観に基づき、近所の海辺で児童生徒に拾ってきてもらった貝殻等を並べる・つなぐ・積むといった造形操作に取り組んでもらう。このような、海が近いという地域の特性を生かした教材を用いることで、地域との一体感を育むことができるであろう。指導の際には、児童生徒の間で交流が生じ、言語活動の充実が達成できるように、並べ方やつなぎ方に意識を向けるように声掛けを積極的に行い、かつ、珍しい並べ方やつなぎ方をしている児童生徒がいれば皆に紹介する。「物語を想定し、進んで活動に取り組み、作る喜びを味わおうとする」(造形への関心・意欲・態度)を目標とし、展開は、「海辺での教材集め→造形活動→作品の説明・紹介」という簡潔なものにする。

参考・引用文献

藤江充・岩崎由紀夫・水島尚喜編著 『平成20年告示新学習指導要領による図画工作科指導法 理論と実践』 日本文教出版、2015年、p.13‐34、p.119‐123

捕捉

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