WE1020_法学2(日本国憲法)_2単位目



1.日本の国会が二院で構成される理由

 二つの合議体から成る議会を二院制と呼ぶ。二院制は、国民によって選出された議員で構成される下院と、下院とは異なる方法で選出された議員で構成される上院とで組織される。上院は貴族や勅任議員から成り、下院の民主的勢力を牽制するものである。

 日本では明治憲法下で、貴族院衆議院から成る二院制が採られ、前者が後者よりも上位に立ち、保守的な抑制機能を果たしていた。現在は貴族院は存在しないが、日本では現在も二院制(衆議院参議院から成る)が採られている。これは以下の2つの理由による。

①議会活動の慎重化

 これは一院のみの活動を議会の活動とするよりも、互いに異なる二院の活動の一致を以て議会の活動とするほうが、議会活動を慎重なものにするという考え方である。

②理性的な議会活動の実現

 これは一院制において、論議が党利党略に流されることで民主主義が形骸化することを防止するために、異なる選出方法によって組織された別の一院を設け、そこで党利党略に流されない議論を行い、国民重視の公正かつ理性的な政治を実現させるという考え方である。

 上記が日本で二院制が採用されている理由であるが、日本における二院制では、「内閣不信任決議案」や「予算の議決」や「条約の承認」や「内閣総理大臣の指名」等の重要な事項に関しては、衆議院に優越的権限が付与されている。すなわち、衆議院参議院の意見が不一致の場合、衆議院の意見が優先されるということである。これは、両院の意見の不一致が審議の遅れを生じさせ、政治の進行が不活発となることを回避するための制度である。この制度は跛行的二院制と呼ばれている。

 なお、参議院に関しては、現在は衆議院と同様の方法で議員が選出されており、衆議院との質的な違いが存在しないため、参議院の議員が党利党略に流されているという見方がある。以上のことから、「参議院衆議院と変わらないので不要である」という指摘がなされている。

2.司法権の機能と独立

 司法権の機能と独立について以下に述べる。

 はじめに、司法権の機能について詳述する。司法権とは、裁判所の権限に属する国の作用を指す。この内容は、個々の具体的な事件に関する法律上の争訟を解決するために、法規をその事件に適用し、合憲や合法や違憲や違法や権利関係を判断し宣言するというものであり、これがそのまま司法権の機能といえる。すなわち司法権は、当事者間の具体的な法律上の争訟の解決を目的としている。この点で、司法権は、社会公共の利益実現を目的とする立法や行政と異なる。この相違が、司法権が立法と行政から独立させられている理由の1つである。

 なお、司法権には限界がある。これは、「権力分立の原理」や「司法権の性格」や「司法の手続と制度」や「憲法の規定」等に起因する。例えば、権力分立の原理により、裁判所は法律を制定できない。また、高度な政治性を有する国家の行為(統治行為)を、司法権の性格上、裁判所は審査できない。また、裁判所は違法な行政処分を事前に禁止できない。また、憲法の規定により、司法権の権限外とされた事項を司法権はその対象にできない。

 次に、司法権の独立について詳述する。司法権は裁判所に統一されており、特別裁判所を設置することは、法の下の平等を国民に保障するために禁止されている。特別裁判所とは、「特殊の身分を有する者と特殊の事件に関してのみ裁判権を有する裁判所」や、「非常時に特設される裁判所」である。たとえば、明治憲法下の皇室裁判所、軍法会議行政裁判所等がこれに該当する。つまり、通常の裁判所の組織系列に属さない裁判所は設置することができず、司法権はあくまでも裁判所で行使されるということである。

 もちろん、上記の例外は存在する。行政機関が前審として法的紛争を処理することは憲法上許されている。行政機関が、前審として簡易かつ迅速な判断が可能であり、国民の権利救済に資することができること。また、行政の反省を促す機会を提供できること。これらが行政機関が前審として法的紛争を処理できる理由である。

 最後に、司法権の独立について述べる。近代市民革命において、国王による専制政治から人民の権利と自由を守るために、裁判を国王の統治権から独立させることが歴史的に試みられてきた。この近代市民革命の成果の1つが、司法権の独立である。形式的には、司法権の独立は、立法権と行政権からの独立を意味するが、これは国家権力からの独立という意味ではない。ここでの独立とは、国家権力内の枠内での機能の独立という意味である。内容的には、司法権の独立とは、裁判を行う裁判官が、誰の命令や干渉にも拘束されず、憲法と法律と良心に従って職務を行うことの保障を指す。このようにして裁判官が独立していることは、公平な裁判が行われるための前提であるため、この点に司法権の独立の意義があるといえる。

引用文献

北岡勲・児玉誠著 『法学』 明星大学、2012年、p.218‐p.220、p.253‐p.255

捕捉

要約の仕方については、下記の記事が参考になります。

キーワードは、「国会」「二院」「司法権の機能」「司法権の独立」ですね。

レポートの最後に記しているように、指定の教科書の218ページから220ページ、253ページから255ページの内容を要約しています。