WC1060_情報リテラシーb_1単位目



 インターネットが社会に浸透するにつれて、それ以前には生じ得なかったような新規の出来事が起きている。インターネットを利用した電子メールやソーシャルメディア等の技術の発達は、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも瞬時に他人とコミュニケーション可能な世界を実現させた。

 たとえば、電子メールは、インターネット環境の整った場所であれば、どのような場所にいる複数の人間にも一度のメール送信で瞬時に情報を送ることを可能にし、交流や仕事の幅を著しく拡大させた。また、ブログやFacebook等のソーシャルメディアは、自分自身に関する情報をインターネット上に、不特定多数の人々が閲覧可能な形で容易に公開できることを可能にし、知り合いや友人との間の情報交換だけでなく、知り合いや友人を作るツールとしても活用されている。

 未知の他人と知り合い、交流し、そして親しくなるという現象は、インターネットが発達する以前にも、雑誌や新聞等の文通相手募集欄を介して生じていたものであるが、現在のインターネット社会では、その規模や範囲は飛躍的に拡大し、情報伝達のスピードも過去とは比べ物にならないほど速くなっている。

 上記のような技術革新が、私達の生活に多くの利便性をもたらしたことは紛れもない事実である。今や、インターネット無しの生活は想像できないほど、インターネットの恩恵は大きく、インターネットの存在価値は道路や水道等のインフラのそれと同等といえる。しかしその一方で、インターネット上でやりとりされる情報に起因したトラブルも生じている。そのため私達は、情報というものの特徴について熟知し、その発信の仕方と受信の仕方について敏感になる必要がある。すなわち、「ネット上での不適切な発言や投稿は取り返しのつかないことになるということを肝に銘じておく必要がある」ということである。

 たとえば、電子メールやブログやFacebook等のツールは、情報交換や友人作り等に絶大な力を発揮するものであるが、誤解や衝突等の問題をも生じさせている。私自身も、友人に不快感を味わわせてしまうという意図せざる結果を、Facebook上でのメッセージのやりとりで招いてしまった経験がある。私が友人に対し、敬称抜きの苗字のみでの呼び掛けを行ったところ、「今まで渾名で呼び掛けられていたのに、苗字で呼び捨てにされて、上から目線で接されたと感じた」という応答がその友人から返ってきた。予期せぬこの反応に私は驚いたものの、「他意はないこと」を友人に伝えるとともに、丁寧に謝罪を行った。こちらの送信した情報が、相手によってどのように受け取られるのかを全く考慮していなかったこと。これが上記のFacebook上で起きた誤解の原因といえる。

 上記の私の実体験は、幸いなことに、交友の断絶のような悲しい結末には至らなかったものの、私の周囲ではこのような些細な誤解から衝突が生まれ、次第にそれがエスカレートし、最終的に罵詈雑言をぶつけ合った末に断絶状態になるというケースが実際に存在する。本来であれば、情報交換や人間関係の維持・構築に役立つ電子メールやブログやFacebook等が、使い方によっては全く逆の効果を及ぼすことは非常に悲しいことである。   

 このような悲しい出来事を生じさせないためにも、私達には、情報というものの特徴について熟知し、その発信の仕方について敏感になることが求められているといえる。具体的には、次の事柄を肝に銘じておく必要がある(実教出版編修部、2014)。①情報の価値は人によってかわる。②受信者や発信者の意図がともなう(意図の介在)。③発信された情報を受け取る人が存在する(受信者の存在)。

 私が経験したFacebook上でのトラブルは、上記のうちの①と②を考慮できていれば、未然に防げたものであろう。自分が世界に向けて発信する情報は、どのような人にとってどのような意味を持つのか。自分の発する情報はどのような意図の読み込みに開かれているのか。これらの問い掛けを自分に行いながら情報発信をすれば、トラブルが起きる確率を下げることができるであろう。さらに、自分の発する情報の直接の受け手ではない人に対しても思いを馳せ、自分の発する情報がどのように受け取られる可能性があるのかについても配慮できれば、電子メールやブログやFacebook等のツールが本来持つ、情報交換や人間関係の維持・構築の機能を最大限に有効利用することができるに違いない。①と②と③に基づいた、上記のような問い掛けを絶えず自分自身に行いながら、電子メールやブログやFacebook等のツールを用いて情報発信する習慣を付けること。これが、インターネットの発達した今日の社会における最低限のモラルとマナーであると私は考える。

引用文献

実教出版編修部編 『最新 事例でわかる情報モラル』 実教出版株式会社、2014年、p.66

捕捉

このレポートは、「~についてあなたが感じたことを述べよ」という問いかけをしているので、感想型レポートといえます。

課題のキーワードは、「ネットワーク社会のモラルとマナー」なので、 これに関する箇所を指定の教科書から探して読み、感想を書けばOKです。

しかし、感想だけだと文章量がかせげないので、課題と関連した「自分の体験」があると有利です。

もしも「自分の体験」が見つからない場合は、新聞やネットで事例を探しましょう。