PB1020_社会_1単位目



1.現代社会における社会科の必要性と任務について

 一般的に、社会科という科目には、「用語や年号の暗記」という印象が強く持たれている。特に、中学校における社会科に、このような印象を持つ人々は多い。

 しかし、現代社会において社会科は、「社会を理解し、公民的な資質を育成する教科」として本質的には存在する。上記の「公民的資質」とは、『小学校学習指導要領解説社会編』にて、「市民・国民として行動する上で必要とされる資質」や「平和で民主的な国家・社会の形成者としての自覚を持ち、自他の人格を尊重し合うこと、社会的義務や責任を果たそうとすること」や「公正に判断することなどの態度や能力」と説明されるものである。

 「公民的資質」の育成には、「地域社会・産業・歴史などに対する理解と愛情を育て、社会の変化に対応できるような態度と能力」の育成が前提とされる。それゆえ、小学校中学年における社会科では、「身の周りの地域を観察したり、産業や社会の仕組みなどを調べたりする授業」が組み込まれているのであり、だからこそ、「小学校中学年で学んだ社会科の印象こそ、社会科本来の姿に近い」といえる。現在の中学校における暗記中心の学習のあり方は、むしろ例外的なのである。

 社会科の任務は二つの側面から規定できる。一つは、「青少年に社会生活を理解させるという理解的側面」であり、もう一つは「社会生活の進展に力を致す態度や能力の育成」という側面である。まとめると、社会科の任務は、「社会生活について理解し、社会の形成者としての公民的資質」を養うことにより、「日本の将来を担う国民の社会観や認識を育成する」というものになる。

 以上、社会科の目標や任務の内容を概観してきた。これまで見てきたように、「一人一人の人間がよりよく生きるために、社会生活や自然環境などを的確に認識し、社会の一員として自覚を高めるようにする点」や「自他の人格を尊重し、義務や責任を果たし、社会の改善に努め、平和で民主的な社会の建設に尽くす人間を形成しようとする点」において、現代社会における社会科には、必要性が大いにあるといえる。これらは、「生きる力」やOECDが重視するキー・コンピテンシー(主要能力)の趣旨にも合致する。従って、現代社会における社会科の必要性は、今後益々高まっていくともいえる。

2.社会化、公民的資質、社会認識について

 はじめに、「社会化」についてであるが、これは、家族や地域等の社会集団の中で、「自分の役割や立場を認識」し、「社会を構成する一員として一人前になる」過程のことを指す。言い換えれば、「社会化」とは、「個人が社会ないし集団の成員性を獲得し、成員として受け入れられるような過程」といえる。

 次に、「公民的資質」についてであるが、この用語は、昭和23年版の『小学校社会科学習指導要領解説』(以下、『解説』と略す)にて初めて使用され、昭和43年版の学習指導要領以降、社会科の目標として言及されている。

 『解説』において「公民的資質」は、3点に分けて説明されている。すなわち、「公民的資質」とは、①自分たちの住んでいる世界に正しく適応できるように、②その世界の中で望ましい人間関係を実現していけるように、③自分たちの属する共同社会を進歩向上させ、文化の発展に寄与することができるように、児童達にその住んでいる世界を理解させること、と説明されている。

 その後、上記の「公民的資質」には、「市民社会の一員としての市民、及び国家の成員としての国民」という意味が付与された。さらに、平成20年の『小学校学習指導要領解説社会編』では、「国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者、すなわち市民・国民として行動する上で必要とされる資質」や、「平和で民主的な国家・社会の形成者としての自覚をもち、自他の人格を互いに尊重し合うこと、社会的義務や責任を果たそうとすること、社会生活の様々な場面で多面的に考えたり、公正に判断したりすることなどの態度や資質」や、「日本人としての自覚をもって国際社会で主体的に生きるとともに、持続可能な社会の実現を目指すなど、よりよい社会の形成に参画する資質や能力を含むもの」という説明が、「公民的資質」に関してなされている。

 以上のことから、「公民的資質」という言葉には、「単に社会を認識するだけでなく、社会に対して積極的に働きかけていくという意味」や「社会の中で他人と共生していくために必要な道徳の感覚」が含まれているといえる。

 最後に、「社会認識」についてであるが、この言葉は字義通りには、「社会の仕組みについての理解」という意味で理解してよいものである。しかし、この言葉は厳密には、「社会の仕組みを改善していくこと」という意味を含んでいる。そのため、社会科における「社会認識」という言葉は、「子どもが社会を知り理解することと、認識により社会へも働きかけるようになる」ことという二つの側面が「絶えず深化し関係しあ」うことを指すものと理解すべきである。

参考・引用文献

菱山覚一郎著 『第2版 社会科の理論と課題』 明星大学出版部、2015年、p.1‐56、p.98‐100

捕捉

このレポートは要約型レポートです。

もう、要約してくれと言わんばかりの、課題文ですね。

「~について整理しなさい」「次の語について、それぞれ調べなさい」という課題なので、教科書からキーワードの詳細を探して、要約すればOKです。

要約型レポートの書き方については、以下が参考になります。