PB2100_初等教育課程論_1単位目



1.教育課程の意味と、教育課程が教師や子どもにとって重要なことといえる理由

 教育課程とは、文部科学省が、「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画」と定義するものである(青木、2014)。教育課程は「学校の教育目標の設定」と「指導内容の組織」と「授業時数の配当」の3要素から構成され、これらの内容は、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則、学習指導要領において定められる。そのため、教育課程を文部科学省は「教育基本法や学校教育法をはじめとする教育課程に関する法令に従い、各教科、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動についてそれらの目標やねらいを実現するよう教育の内容を学年に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画」と定義してもいる(青木、2014)。

 教育課程とよく似た用語としてカリキュラムという用語がある。教育課程とカリキュラムはどちらもcurriculumに由来し、ほぼ同じ意味であるが、これらには若干の意味の違いがある。例えば、後者には「学校教育における児童生徒の経験の総体」という意味があるが、前者には「経験」の意味合いが薄い。また、学校の教育課程や指導計画をカリキュラムと言い換えることには問題はないが、国語科の教育課程という言い方はなされない。この場合には、国語科の指導計画や国語科のカリキュラムという言い方が適切となる(青木、2014)。

 上記のような違いを除けば、教育課程とカリキュラムは互換的に使用できる言葉である。例えば、カリキュラムには、次のように3つの分類がある(青木、2014)。①意図したカリキュラム(国家又は教育制度の段階で決定された算数・数学や理科の内容)。②実施したカリキュラム(教師が解釈して児童生徒に与えられる算数・数学や理科の内容)。③達成したカリキュラム(学校教育の成果、すなわち、児童生徒が学校教育の中で獲得した算数・数学や理科の概念、手法、態度等)。これらのうち、①は「国による教育課程の基準としての学習指導要領の設定」に、②は「学校による教育課程の編成・実施」に、③は「子どもたちが実際に身に付けた資質や能力」に言い換え可能である(青木、2014)。

 以上のことから、教育課程は教師や子どもにとって必要不可欠なものといえる。教育課程に基づいて初めて、学校における教育が実現するのである。なお、教育課程は、積極的に評価されることによって、常に改善が試みられている。これはひとえに、「教育課程を地域や学校の実態および児童の心身の発達の段階と特性に即したものにする」ためである(青木、2014)。教育課程を絶えず改善することが学校の持つべき基本的態度といえる。

2.『小学校学習指導要領』の7回の改訂で示された教育課程の特徴

 昭和22年に暫定的に作成された小学校学習指導要領の特色は、「教科間の関連が十分図られていない」というものであった。その後、昭和33年に、「経験主義」や「単元学習」への偏りの指摘、各教科のもつ系統性の重視、「独立国家の国民としての正しい自覚をもち、個性豊かな文化の創造と民主的な国家及び社会の建設に努め、国際社会において真に信頼され尊敬されるような日本人の育成」の意図等を踏まえて改訂が行われた(青木、2014)。

 昭和43年には、国民生活の向上、文化の発展、社会情勢の進展等の社会の変化に対応するために、「教育内容の現代化」が図られ、「人間形成における基礎的な能力の伸長」と「国民育成の基礎を養うこと」と「人間形成の上から調和と統一のある教育課程を実現すること」と「心身の発達段階に応じた指導内容」等の方針を盛り込んだ改訂が行われた(青木、2014)。

 昭和52年には、高度経済成長を背景にし、学校教育は急速な発展を遂げたが、知識偏重が指摘され、「学校教育の人間化」が唱えられるようになった。そこで、真の意味での知育の充実を目指し、知・徳・体の調和の取れた発達を図るべく、ゆとりの創出と、学校の創意を生かした教育活動を意図した改訂が行われた(青木、2014)。

 平成元年には、科学技術の進歩と経済の発展が、物質的な豊かさを生み、社会全体が益々大きく変化していく状況を踏まえ、「生涯学習の基盤を培うという観点に立ち、21世紀を目指し社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成」を図り、改訂が行われた(青木、2014)。

 平成10年の改訂は、中央教育審議会による「生きる力」の提言を踏まえ、「各学校がゆとりの中で特色ある教育を展開し、児童生徒に豊かな人間性や基礎・基本を身に付け、個性を生かし、自ら学ぶ自ら考える力等の「生きる力」を培うこと」を目的として行われた(青木、2014)。

 平成20年の改訂は、教育基本法と学校教育法の改正、知識基盤社会の到来、国内外の学力調査で得られた課題を踏まえ、ゆとりでも詰め込みではなく、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力の育成」を重視して行われた(青木、2014)。

引用文献

青木秀雄著 『現代初等教育課程入門』 明星大学出版部、2014年、p.13‐19、p.129、p.42‐62

捕捉

このレポートの課題2は、「学習指導要領の改訂」をキーワード・目印にして、指定の教科書を要約すればいいですね。

要約の仕方については、次の記事が参考になります。

 一方、課題1では、「教育課程とはどういう意味ですか?」や「それが教師や子どもにとってなぜ重要なことといえるのですか」という質問がなされています。

なので、上記の質問に答える内容のレポートを書きます。

キーワードは、「教育課程」ですね。これに関する情報を指定の教科書から探して要約すればOKです。