PB3090_児童・進路指導論_1単位目


 
 「自己指導能力」とは「自分で自分を指導していく力」を指す(味方、2015)。この能力は、目の前の問題や課題を解決するための力であり、児童が自己実現を図る際に必要不可欠なものである。そのため、生活指導においては、この能力の育成が重要な目標となる。

 この「自己指導能力」は、過去の経験や体験を通して児童が得てきた学びに基づいている。すなわち、児童が「他者との関係のなかで身につけ育ててきたもの」が「自己指導能力」といえる(味方、2015)。

 従って、児童が学級や学校等の人間関係のなかで生きていくことができるように取り計らうことが教師の勤めの一つとなる。教師が、児童同士の人間関係や、教師と児童との人間関係を充実させることにより、児童の「自己指導能力」は高まっていくのである。

 では、教師はどうすれば、上記の目標を達成できるのであろうか。この答えは、学級経営の仕方にある。まず、「学級経営の基礎」として踏まえるべきことについてであるが、これらは下記の3つに整理できる。

①児童理解 児童の年齢に応じた成長発達を考慮しつつ、児童の実態を正確に把握する。

②対話のある教育指導 児童の話を傾聴し、話し易い環境を整え、児童との対話を心掛ける。

③雰囲気作り 話し合いのできる良好な雰囲気を作るために、児童に接する際の担任の態度や、教室の整理整頓・配色等に気を配る。

 上記が、「学級経営の基礎」である。また、これに加えて、「児童と教師の関係」について教師が留意すべきことが3つある。以下にそれらを列挙する。

①児童の実態に即して、学級の目標を設定する。

②児童に嘘を付かず、笑顔で接し、約束を破った際には素直に謝罪し、謙虚を心掛ける。

③児童に余計なことを言わず、余計なことをしない。児童の相談に乗り、児童が安心を感じられるようにする。

④授業で児童に驚きや感動を与える。担任自身がチャレンジャーになることを心掛ける。

 以上、「児童と教師の関係」について留意すべきことを列挙した。さらに、「協力体制」に関して教師が心掛けるべきことを以下に3つ述べる。

①無理のない協力体制 学年会で学級の様子を報告し、同じ学年の教師から情報や助言をもらえるようにする。

②担任、その他の協力者の能力を生かす ①の協力体制のもとで、それぞれの教師の持ち味を生かした指導体制を充実させる。

③児童に関する「事実」に基づく情報交換 ①の協力体制のもとで、主観を交えずに、事実としての児童の様子を報告する。

 上記が「協力体制」に関して教師が心掛けるべきことである。教師は、学校生活の様々な場面において、以上で述べてきた「学級経営の基礎」や「児童と教師の関係」や「協力体制」に関する重要項目に留意することになる。

 最後に、生徒指導における集団指導と個別指導の在り方について、教師が踏まえるべき重要項目をまとめる。

 まず、集団指導についてであるが、教師は指導基準を明確に示し、これから外れないように振舞うことが大切である。例えば、「嘘はいけません」と教師が述べたにも関わらず、特定の児童の嘘を咎めないような「指導のブレ」は控えて、児童に教師は平等に接する必要がある。また、児童それぞれの持ち味を考慮して、その活躍の場を用意してあげることや、「自己指導能力」の育成を意図して、朝の1分間スピーチを奨励すること等も重要である。また、言うまでもなく、教師は、自分の言葉や自分の話について、伝わり易さや受け取られ方を考慮し、細心の注意を払うべきであるが、社会生活上の規則や倫理に関しては、許されることと許されないことの線引きを、教師は児童に毅然とした態度で伝える必要がある。

 次に、個別指導についてであるが、教師が留意すべき項目は大別して4つある。以下にそれらを列挙する。

①成長を促す指導 児童それぞれの成長発達段階や課題に応じて、他の児童がいない別室等の場所で臨機応変に行う。

②予防的な指導 基本的生活習慣やいじめや不登校等のような問題行動の予兆を的確に捉え、その予防を心掛ける。「気になる児童」の感情を理解するために、その児童の行動を真似てみる。

③課題解決的な指導 問題発生時に、児童に関する事実に基づいて、教職員間で適切な指導方法を話し合い、実践する。

④担任として心掛けること 児童との関係作りを怠らず、保護者からの情報をおさえつつ、他の教職員や諸関係機関との関係を構築しておき、問題発生に備える。

 以上、児童間の人間関係や教師と児童の人間関係と「自己指導能力」の関係を踏まえた学級経営の在り方についての重要項目を整理してきた。児童の「自己指導能力」は、他者との交流を通して磨かれるものである。そのため教師は他者との交流が行いやすい環境を整えるために、上記を踏まえて努力していかなければならないといえる。

参考・引用文献

味方修 『追補 生徒指導─小学校─』 明星大学出版部、2015年、p.12、p.13、p.55‐p.60

捕捉

このレポートは、要約型レポートです。

「考えをまとめなさい」と課題に書かれているので、小論文型レポートのように思えます。

しかし、課題におけるキーワードの詳細を教科書で調べてレポートに書いていくと、結局は教科書の要約になります^^

レポート前半で、「自己指導能力」というキーワードの定義を行っています。

これにより、 「自己指導能力」と「児童同士の人間関係づくり」と「児童と教師の人間関係づくり」との関係を、スムーズに記述しています。

それ以降では、「学級経営の基礎」「協力体制」「集団指導」「個別指導」などについて、定義や説明を行っています。

これらのキーワードは、課題には明記されていません。

しかし、「学級経営」「自己指導能力」「児童同士の人間関係づくり」「児童と教師の人間関係づくり」 などのキーワードについて教科書から情報を探して教科書をパラパラしていると、見つかります。

これらのキーワードの詳細は、42ページから60ページあたりにあります。

46ページで「2.児童と教師の関係」という見出しを見付けて、そこで「学級経営のポイントをおさえる」という話題に遭遇します。

「学級経営のポイントって何だ?おさえるって書かれているから、児童と教師の関係を語る上できっと重要なんだろうな」と思いながら、42ページまで探索範囲を広げていきました。

こんな感じで、レポートで使える箇所を、どんどん探していくと良いです^^

要約型レポートの書き方については、以下の記事が参考になります。