PB3090_児童・進路指導論_2単位目


 

 反社会的行動、特に「いじめの問題」が発生した場合における、児童に対する指導について述べる。

 いじめとは、「一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的苦痛を感じているもの」と定義でき、その成立には「力関係のアンバランスとその乱用」「被害性の存在」「継続性ないし反復性」の三要素が必要とされる(味方、2015)。いじめに対して教師は迅速に対処することが求められている。

 しかし、そもそも、学級内でいじめが行われていることを教師が認識できなければ、教師はいじめの問題に対処することができない。また、たとえ教師がいじめの兆候や形跡に気付くことができたとしても、児童が教師を信用しておらず、詳細を全く語ろうとしないならば、教師がいじめに対処することは難しくなる。そのため、教師は日頃から児童と対話を重ね、児童との間に信頼関係を構築し、児童が教師に何でも相談できる雰囲気・環境作りを行っていることが前提として必要不可欠である。近年のいじめには、インターネットの掲示板や、携帯電話のライン等の会話アプリを介した、表に出にくいものもあるため、教師は日頃から、いじめの早期発見と児童理解に務めつつ、児童との間に信頼関係を構築し、児童が教師にいじめに関する相談を行いやすい状況を作り出さなければならない。これにより初めて、いじめへの迅速な対処が可能となるであろう。

 上記の前提が既に成り立っているという設定のもとで、いじめに対して教師が取りうる対処の仕方を、以下より具体的に記述する。対象となる児童は、いつも一緒に過ごしていた友人達(B子とC子)から孤立し、最近は教室で一人で過ごしている様子の小学校6年生の女児A子である。成長過程を考慮するならば、9歳以降の小学校高学年という時期は、知的にも身体的にも成長する時期であるが、発達に個人差が見られ、自己肯定感が持てず、劣等感を抱きやすい時期ともいえる。上記を踏まえた上で、教師は、孤立しているように見えるこの児童に対話を持ち掛けるべきである。また、同時並行的に、他の教師や、協力的な保護者等に接触し、情報収集に励む必要がある。

 上記のようにして、児童の孤立の原因や背景を探った結果、次のことが明らかになったとする。

 A子とB子とC子は、日頃から携帯電話でメールのやり取りをしていた。ある日、B子が、C子の服装に関して「あの服装はないよね」という趣旨のメールをA子に送ってきた。その後、A子はC子から「最近、服装を変えてみたんだけど、似合っているかな?」という質問をメールで受けた。その際にA子は「自分は似合っていると思うけど、人によるのではないかな」という趣旨の返信をC子に行い、その証拠としてB子からのメールを、軽い気持ちでC子に転送してしまった。その結果、A子は、B子から「自分のメールを勝手にC子に転送するなんてひどい!」という叱責を受け、また、C子からは「似合っていないと思うなら、他人を引き合いに出さずに、そう書けばいいのに!」と非難され、B子やC子や、彼等から話を聞いたその他の友人達から距離を置かれてしまった。

 上記のような背景がA子の孤立に存在していることを把握した教師が取るべき行動についてであるが、それは以下の二つであると考えられる。

 ①A子とB子とC子を、他の生徒のいない別室に呼び、今回のメールの件に関する事実を確認するとともに、感情のもつれを解きほぐす。例えば、次のような語りかけを教師は三人に行うと良いと考えられる。「A子の行動は確かに軽率だったが、B子も陰口のようにしてA子にC子の服装に関してメールを送るのは良くないのではないかな。C子の服装に対する感想を、B子は直接C子に伝えれば良かったのでは。また、A子は「C子の新しい服装はC子に似合っていない」という判断をしているわけではなく、あくまで「服装の良し悪しの判断は人による」ということを示したくて、B子のメールをC子に転送してしまったのだから、その点をC子は事実として認めて欲しい。納得いかないという思いがあるだろうけど、誰にだって間違いはあるのだから、今回の件は、A子の謝罪で水に流してくれないだろうか。」

 ②携帯電話やパソコンでのメールのやり取りに関するマナーや注意事項を児童全員に伝え、トラブルを避けてこれらを上手に使いこなす方法を伝授する。

 上記の①は対象の問題行動への対応(消極的指導)に該当し、②は予防的な意味を込めた児童全員を対象とした指導(積極的指導)に該当する。もちろん、これらの①と②の働き掛けが、実際に功を奏するかどうかは、現実の児童の個性や特質によるところが大きいが、教師は間違いや失敗を恐れずに、児童の問題行動に向き合うことが重要である。間違えた場合や失敗した場合には、素直に謝って反省し、この経験を次に生かす。絶えず、自己を振り返りながら、お互いに人間的に成長していくことを目指して、児童に接していくことが、教師にとっても、児童にとっても、実り多いことだといえる。

参考・引用文献

味方修 『追補 生徒指導─小学校─』 明星大学出版部、2015年、p.71、p.75‐77

捕捉

このレポートは、要約型レポートです。

要約型レポートの書き方については、以下の記事が参考になります。

レポート前半では、「いじめ」などのキーワードの定義が詳述された箇所を、指定の教科書から見つけて要約すればOKです。

ただし、「反社会的行動」というキーワードは目次に載っていないので(索引自体も存在しないので)、「反社会的行動」が詳しく書かれた箇所を探す際には、 指定の教科書をパラパラめくる必要があります。

また、レポート終盤で使用している「消極的指導」や「積極的指導」などのキーワードは、指定の教科書の4ページ「2.生徒指導の定義と内容」に書かれているものですが、目次にはありません。

これらも、「今回のレポートの課題で使える言葉はないかなー」と考えながら、指定の教科書をパラパラめくり、 探し出す必要があります。

レポート後半は、「児童に対する指導」の事例を出したほうが書きやすいので、これをネットや本や新聞などから見付けてきましょう。

最後に、課題貼付欄にて、「一つの項目を選択して〇印を付けること」を忘れないようにしましょう。

これを私は忘れておりました><。たまに、課題項目を選択させるレポートがあります。

教師には「相手意識」が必要なので、自分が選んだ項目には、忘れずに〇を付けましょう。