PB1010_国語_2単位目



 国語科「C読むこと」の指導と読書について論じる。

 はじめに、読書と国語学習指導の意義・役割について確認する。前者には「必要な情報を集めたり、様々な人物に出会ったり、知的な好奇心を触発させたりして、何千年もかけて人間が培った精神文化を享受」できるという意義・役割がある。後者には、「自ら読書する力を育むことを最終目的とした「ねばならないもの」」という意義・役割がある(長谷川、2016)。

 読書と国語学習指導の関係は、自転車に乗ることでたとえると分かりやすい。読書は、自転車を自由自在に乗りこなして様々な場所に出掛けることに該当し、国語学習指導は、自転車に乗る訓練に該当する。自転車を乗る訓練にはそれなりの忍耐と努力が必要であるが、一度自転車の乗り方を習得できれば、その自転車に乗って様々な場所に行き、様々な経験をすることができる。この内容は、読書と国語学習指導の関係にもいえることであり、読書を自分で行うことができるようになれば、古今東西の知識と出会い、様々な他者と対話できるようになるといえる。

 では、国語学習指導の指針・方向性が記された学習指導要領では、読書はどのように取り扱われているのであろうか。学習指導要領の国語科「C読むこと」では、学年ごとに「C読むこと」の目的と内容と言語活動例が記述されている。例えば、5・6学年に限定するなら、上記の詳細は次の通りである。

①目的 目的に応じ、内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに、読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。

②内容 目的に応じて、複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。

③言語活動例 

ア 伝記を読み、自分の生き方について考えること。

イ 自分の課題を解決するために、意見を述べた文章や解説の文章などを利用すること。

ウ 編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。 

エ 本を読んで推薦の文章を書くこと。

 上記のような学年ごとの到達目標を記載した上で、学習指導要領では、「教科書教材を中心とした学習と学校図書館の本(資料)を活用・連環・環流させた学習」が掲げられ、読書活動を実現することが明記されている(長谷川、2016)。上記の「学校図書館の本(資料)を活用・連環・環流させた学習」とは、すなわち、読書を「日常生活に広げ、他の教科や学校図書館活動と関連させる」ことを指す(長谷川、2016)。また、これと関連して、学校図書館において、本の題名や種類への注目を促したり、索引を用いて本の検索をさせたりといった、「本や資料を選ぶことの指導」も、学習指導要領に必須項目として明記されている(長谷川、2016)。

 以上、読書と国語学習指導のそれぞれの意義や役割と、国語科「C読むこと」における読書の取り扱いの内容を概観してきた。これらを踏まえて、近年懸念されている「読書離れ」への対応方法を以下より論じる。

 結論から述べるならば、国語科として「読書離れ」に対応するには、相互交流・相互啓発の場であるフリートークを利用した単元学習が最適だと私は考える。

 なぜなら、読書を一人で行うよりも、集団で読書を行い、かつ、その感想を発表することによって、教員や他の人々と意見交換したほうが、児童生徒は読書を楽しむことができると考えられるからである。児童生徒が述べた意見に対して、教員が「どこからこう思いました、こう考えた、と根拠が言えると、みんなもよく分かると思います」等と適宜助言し(長谷川、2016)、児童生徒の言語活動の充実を図れば、「みんなと話しているといろんなことを考えつく」や「思いもかけないような面白い、すばらしい意見がどんどん出やすくなる」という現象が生じるであろう(長谷川、2016)。その結果、「楽しい読み物を学校で『勉強として』読める」や「国語の勉強だって楽しい本・面白い本もある」等の実感を児童生徒は抱くはずである(長谷川、2016)。すなわち、「フリートークという意見交流を通して、教材とのかかわりを密に」することが達成できるだろう(長谷川、2016)。

 例えば、「ごんぎつね」という教材を用いて、上記の単元学習を行った場合、「ごんを撃った兵十は酷い」や「ごんは撃たれても仕方ない」等の意見が児童生徒から提示されるであろう。そこで教員が根拠を問えば、「なぜなら、ごんは兵十の家に食べ物を届けていたから」や「なぜなら、過去にごんは兵十に悪戯をしたから」等の根拠を引き出すことができるであろう。「ごんは兵十に撃たれて幸せだった。なぜなら、兵十の母親がうなぎを食べられずに死んだのは自分のせいだという罪の意識をごんは感じており、兵十に撃たれることでその罪悪感から解放されたから」等のような意表を突く意見と根拠が提示される可能性もある。このような、何が飛び出すか分からないという知的な興奮体験が、児童生徒の「読書離れ」の改善に大いに役立つと私は考える。

参考・引用文献
長谷川清之 『国語科教育入門』 明星大学出版部、2016年、p.171、p.173、p.175、p.201、p.204‐206

捕捉

このレポートは小論文型レポートです。

「論じなさい」と課題に書かれている場合は、小論文型レポートを書くと考えてOKです。

とはいえ、課題が示されている大事な紙(確か、「科目概要・レポート課題」という名称だったような)に、「レポートに書いて欲しいこと」や「教科書の~章をまとめなさい」や「〇〇という言葉を必ず使いなさい」などの指針・方針が明記されているのでれば、これを必ず優先しましょう。

レポート前半で、「国語科「C読むこと」の指導と読書」というキーワードに関する詳細を、指定の教科書から探して要約しています。

レポート後半では、レポート前半を踏まえて「読書離れに対応する方法」に関する自分の考えを述べています。

指定の教科書の内容から完全に外れた「正真正銘自分オリジナルの考え」を書くよりも、指定の教科書の内容に基づいて「自分の考え」を書いた方が無難です。

しかし、私は「ごんぎつね」を題材にしていますね。指定の教科書には「ごんぎつね」は載っていないのですが、取り上げる教材の事例としてはセーフのようです。

ところで、「ごんぎつねどんだけ好きなんだ」と思われるかもしれませんが、他のレポートでも「ごんぎつね」が登場しまくります。

このように、使いまわせるものは、どんどん使いまわしていきましょう。

小論文型レポートの書き方については、下記の記事で少しだけ触れています。