PL2010_知的障害者の心理_1単位目

課題
1.知能障害の定義と分類、支援ニーズ、病理型のダウン症児と生理型の軽度知的障害児の特性と配慮事項に関し、述べよ
2.教育におけるアセスメントの重要性、代表的な検査アセスメントとしてのWISC4の内容と教育的指導への生かし方に関し、具体例を挙げて述べよ



1.知的障害の定義と分類、支援ニーズについて

 知的障害とは、「先天性または出生時、あるいは出生後早い時期に、脳に何らかの障害を受けたために知的な発達が遅れ、社会生活への適応が著しく困難となること」である。知的障害の定義は他にも存在するが、いずれの定義にも次の3つの要素が確認できる。①知的機能の制約であり、知能指数が概ね70以下の状態。②日常の課題と変化する状況への対応力としての適応行動の制約。③18歳までの発達期に生じる障害。

 知的障害は、出生前に原因が生じた先天性と、出生時ないし出生後早期に原因が生じた後天性に分類できる。また、原因が特定できる病理型と、原因が不明の生理型という分類も存在する。さらに、知的障害の度合いによる分類もある。この場合、軽度(IQ50~70)、中等度(IQ35~55)、重度(IQ20~40)、最重度(IQ25以下)の4段階に分けられる。

 知的障害児者が必要とする社会的支援についてであるが、その程度は一般的に次の4つに大別される。①断続的な支援。②限定的な支援。③広範囲な支援。④広汎な支援。なお、支援の際には、個々の特性を考慮し、「どのような支援を必要としているか」という視点から、個々の支援ニーズを捉える必要がある。

 例えば、病理型のダウン症児を支援する場合は、ダウン症児には合併症(先天性心臓疾患など)が見られることを考慮し、これらの治療と健康管理への配慮が必須である。また、身体発育の遅れや、筋緊張の低下に起因した運動発達の遅れや、手先の不器用さや、平衡性の低さがあることや、知能指数はIQ30~70の範囲にあることが多いことや、数概念と聴覚的な短期記憶に困難があることなどの把握も必要である。頑固、融通がきかない、こだわりがある、わがまま、馴れ馴れしい、場面や人によって行動傾向が極端に変わる、過度な関わりを求めたり、注意されると引きこもったりなどの対人関係のストレスに対する弱さがある、などのような性格・行動傾向にも考慮する必要がある。

 次に、生理型の軽度知的障害児を支援する場合についてであるが、この際には、言語を用いた抽象的な概念の操作である推理、判断、思考の遅れがあり、本人も苦手意識を持つことが多いことに留意すべきである。特に、軽度知的障害の人は一見すると健常者に見えるため、周囲は彼等の特性を正確に理解し、過剰な期待をしたり、高い成果を要求したりしないことが重要である。

2.WISC4の内容と教育的指導への生かし方

 アセスメントは、「評価・評定・診断等」を意味する言葉であるが、教育におけるアセスメントは、「子どもの状態(学習、行動、心理等)を丁寧に把握し、子どもの発達課題を見定めること」を意味する。すなわち、アセスメントとは、「子どもの側に立って、発達の程度や障害の状況に配慮した学習場面を確実に提供するために行うべきもの」といえる。子どもの教育的ニーズを導出し、このニーズを満たすための手段・方法を設定することを目的にして行われる点で、アセスメントは重要なのである。以下より、WISC4という代表的な検査アセスメントを用いた教育的指導の具体例を概観し、アセスメントの重要性を確認したい。

 WISC4は、全般的な知的能力の水準と、その特性(個人内差)を具体的に把握できる、幼児・児童を対象とした個別の知能検査の一つである。WISC4は10の基本となる下位検査と5つの補助的な下位検査で構成され、点数の合計結果で知的発達水準を判定するものである。さらに、WISC4では、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度の4つの指標に知能が分類されており、これらの特性が、具体的な数値である「合成得点」と、平均からの偏差の程度を言葉で示す「記述分類」によって表される。

 例えば、Aという児童にWISC4でアセスメントを実施した結果、言語理解の合成得点が他の3つの指標のそれよりも高かったとする。これよりAは、言語概念形成、言語による理解力・思考力の高さ故に、表出言語が豊かであるため、「言い訳ばかりする」「わがままな子」という誤解を受け易いことが伺われる。日頃からAは、整理整頓を苦手とし、作業の途中で別の刺激に注意が向いてしまったり、自分のやりたいことに過集中してしまったりしがちであった。これらを全て考慮すると、Aに対する個別的な指導・支援の方法として、次の3点が導ける。①命令して作業をさせるのではなく、「Aが必要だ」「人の役に立つ」という形で作業に誘導する。②整理整頓は、一定の時刻に毎日5分だけ行い、無意識に様々な場所へ物を置いてしまうことがないように、物の置き場所としての籠を用意し、「片付けました」と指差し確認をすることを勧める。③他の同級生と比較せず、短い指示説明を心掛け、A自身の思考や活動の時間を小刻みに確保する。

 以上概観してきたように、WISC4を用いたアセスメントから、適切な指導方法を導くことができるといえる。

参考・引用文献

梅永雄二・島田博祐編著 『障害児者の教育と障害発達支援』 北樹出版、2015年、p.35‐51、p.109‐121

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